エンディングノートの書き方ノート~4.3.介護・成年後見制度についての希望を書く(3)

介護・成年後見制度についての希望を書く(3)

エンディングノートの書き方ノート|コトダマの里
4.3.介護・成年後見制度についての希望を書く(3)
このシリーズではエンディングノート(終活ノート)を書くときに役立つ情報をまとめてご紹介していきます。4では介護に必要になった場合の希望を書くときに役立つ予備知識を、最近のニュースも含めて紹介します。今回は成年後見制度について取り上げます。

成年後見制度と財産管理契約

 「介護保険制度」とともに高齢者の生活を支える「成年後見制度」です。前々回のおさらいとなりますが、「成年後見制度」は、判断能力衰えてきた人が介護保険サービスを事業者と契約する、その契約手続きを支援する目的からつくられました。

 ここでは成年後見制度に加えて財産管理契約についてご紹介します。この両者はともに高齢者の社会的生活を支えるものなのですが、両者の大きな違いは「判断能力の衰え」にあります。もちろん他にも違いはありますが、くわしくは次項以降でふれます。成年後見制度は判断能力が衰えた時のための制度なので、判断能力の減退がある場合に開始されます。一方、財産管理契約は判断能力の減退が見られなくても契約がスタートします。

 

 

(1)成年後見制度

 「成年後見制度」とは、認知症などで判断能力が不十分な人を法律面や生活面で支援する制度です。認知症になると、生活していく上で困ったことがたくさん出てきます。

  • 貯金や年金の管理や引き出しなど財産の管理が自分一人では出来なくなります。
  • 介護保険のサービスや、病院・介護施設の入所手続きなどさまざまな契約は、本人に判断能力がないとみなされると、契約を結べないので、支援が必要です。
  • ひとり暮らしの高齢者が、次から次へ高額な商品やサービスを契約をさせられる被害が急増していますが、、成年後見制度をうまく利用することによって、このような被害を防ぐことが出来ます。

 つまり「成年後見制度」は、そういった判断能力が低下した人の権利を守るため、代わりに信頼できる代理人(後見人)にやってもらう制度なのです。

 成年後見制度は大きく二つに分かれます。本人が、判断能力の充分にある間に認知症になったときに備えて、財産の管理や、医療や介護についてどのようにしてほしいかを決め、信頼出来る代理人を自分の意思で選び、後見人なってもらう契約を結ぶ「任意後見制度」

 もうひとつは、現に判断能力が低下している方が利用する「法定後見制度」。判断能力の低下の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3種類に分けられます。後見人、保佐人、補助人は家庭裁判所が選びます。

成年後見制度の種類

図表:コトダマの里作成

 任意後見」「法定後見」のいずれの制度も費用はかかります。家庭裁判所の申し立ての費用(登記費用や鑑定費用、印紙代など)、任意後見制度の場合は公正証書の作成、後見人への報酬などです。

 成年後見人になる人は、一般的には家族や親族がなることが多いようですが、司法書士、弁護士、社会福祉士等の専門家就任することもあります。家族や親族がなる場合は無報酬の場合も多いですが、司法書士などの専門家などの場合は月額2~3万円程度の報酬が発生するようです。また後見監督人にも報酬が発生します。いずれにせよ、社会的な生活をまかせるわけですから、信頼できる人を選ぶのが鉄則です。

 なお後見制度の契約がスタートすると、本人は選挙権を失います(保佐・補助は除く)、また資格制限があり会社役員や弁護士など一定の資格につくことができなくなります(補助は除く)。なお成年後見制度には特に年齢の定めはありません。未成年者でも利用できる場合もあるそうです。

 

 

(2)財産管理契約

 財産管理契約は任意代理契約(上記の任意後見制度とは違います。注意して下さい)とも呼ばれる民法上の契約です。成年後見制度のような公正証書の作成や後見登記はありません。

 歳をとってくると、頭はしっかりしていても身体が思うように動かないという状況がよくあります。銀行きたくても行けず、簡単な支払いさえままならなくなるということもあります。成年後見人制度でも財産管理は支援されますが、成年後見制度は「判断能力が低下した時点で開始される」ため、頭がしっかりしている間は、身体の不自由で財産の管理が困難になったとしても利用できません。老人ホームもお金の管理はしてくれません。このような事態に対処するのが「財産管理契約」です。

 財産管理契約では、自分で財産管理人を決め、財産の管理やその他の生活上の事務の全部または一部について委任します。当事者間の合意のみで効力が生じ、内容も自由に定めることができます。ただ成年後見制度のような公正証書が作成されるわけでもなく、後見登記もされないので、その分、社会的信用が劣るのがデメリット言えます。

 老いじたくとして「任意後見契約」と「財産管理契約」を一緒に結んでおいて、身体や判断能力が衰えはじめたら、その程度に応じて段階的にサービスを開始するのが一般的な流れのようですが、経済的な管理は、家族の有無や、資産のあるなしなどで事情がだいぶ変わってくるので、介護保険のように誰しも必要とは言えません。

 また財産管理契約は民法上の委任契約です。そのため成年後見制度のような、公的機関の監督も保護もありません。そのため財産管理人に悪用されたり、横領されたりするおそれもあります。財産管理人はくれぐれも慎重に選ぶ必要があります。

認知症

 大量に物をため込んでいる、社交的だったのに最近は家から出なくなった、気温にあった服装を選べられない、疑い深い・怒りっぽいなど急に性格が変わった、好きだった物事に急に興味を失った、無気力、だらしがなくなった、日付や曜日、場所などをよく間違える.、同じことを何度も聞ようになった、最近のことをよく忘れる……もしかしたら認知症の初期症状かもしれません。

 認知症は自覚症状がないとも言われますが、実は、最初に症状に気づくのは本人だといいます。内心「何かおかしい」と気付き、不安や焦りを感じられている方が多いそうです。

 認知症は、65歳以上の4人に1人が認知症になっているか、もしくはその予備軍だとも言われています。認知症は誰しもが罹患しうる病気なのですが、早期に気づいて治療すれば、進行を遅らせたり、症状を改善させたり、維持することが期待でき、その後の経過がずいぶんと違い、早期診断、早期治療がとても大切です。

 

 

(1)認知症と物忘れの違い

 認知症と物忘れは混同されますが、物忘れは自然な老化現象ですが、認知症は病気で生活を送るのに支障をきたしてしまいます。

 認知症は脳の病気です。事故や年齢などのさまざまな原因により脳の細胞が死んだり、働きが悪くなることで、判断力に障害起こしたり、記憶の欠落を生じさせます。このために社会生活や対人関係に支障が出ている状態が、およそ6か月以上継続している状態を指します。

 認知症の主な症状は、日常生活に支障を来たすような「記憶障害」や「判断力の低下」です。そして周辺症状として幻覚、妄想、抑うつ、意欲低下などの精神症状と徘徊、興奮などの行動異常です。そのため認知症は介護が必要となる代表的な病気と言えます。また認知症になると、本人だけでなく、家族や周囲の人々も、受け入れられずに戸惑うことも多いと聞きます。

 認知症の種類で代表的なものには、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症の3つです。とりわけアルツハイマー型認知症は罹患者が多く、全体の約6割を占めています。

 一方認知症とよく間違われる老化による物忘れは「健忘症」と呼ばれています。健忘症は加齢による身体の生理的な老化によって起こる老化現象で、日常生活に大きな支障をきたすほどでもない状態を指します。なお痴呆症は、以前は認知症のことを指した呼称ですが、最近は使われません。

  • 【認知症と物忘れの違い】

  • 認知症は体験したこと全体をすっかり忘れてしまいますが、物忘れの場合は忘れるのは一部だけです。たとえば、物忘れでは、食事で何をたべたかは忘れても、食事をしたことは覚えています。認知症の場合は食事をしたこと自体を忘れてしまい、「ご飯を食べていない」と思ってしまいます。たとえヒントを出しても思い出すことはできません。
  • 認知症は、探し物などが「盗まれた」と、他人のせいにすることがあります。たとえば、大切な財布をなくした場合など、物忘れの場合は探す努力をしますが、認知症の場合は盗まれたと思ってしまうことがあります。
  • 老化の場合、物忘れの程度も軽く一時的ですが、認知症の場合は強度で直前の行為であっても忘れます。
  • 老化の場合は日時、場所、人の顔などを忘れる「失見当識」はありませんが、認知症には失見当識があります。たとえば、しばらく会ってない人の名前がなかなか出てこないのは老化による物忘れですが、会ったことすら忘れてしまって、誰だかわからないというのは認知症の症状です。
  • 老化による物忘れは日常生活に支障をきたしませんが、認知症では日常生活に支障が生じてきます。
  • 認知症の症状の進行しますが、物忘れは極めてゆっくりです。

 

(2)認知症の自己診断?

 ソニー生命の調査では三割半の人が「認知症は発症しても症状が改善することがある」ことを知りませんでした。認知症に罹患しても、早めに治療すれば、症状は改善するのです。

 認知症の診断には、もちろん医療機関の受診が必要です。とはいえ、自分で内心「おかしいな」と思ったとき、すぐその場で簡単に自己診断チェックシートで試せればと思うものです。

 そこでネットで検索しみると、やはり、たくさん公開されていました。認知症の検査に用いられる有名なテスト「長谷川式簡易知能評価スケール(改訂版)」も公開されています。しかしネット上の自己診断のチェックシートは、気休めでしょう。内心おかしいなと感じたら、早めに医療機関で診断を受けてください。早めに治療すれば、その分回復も早まります。

「長谷川式簡易知能評価スケール(改訂版)」(出典:日本テレビ)

「長谷川式簡易知能評価スケール(改訂版)」(出典:日本テレビ)

 

(3)認知症対策

 認知症は生活管理が予防に繋がることは広く知られています。魚を中心の食生活にして、緑茶やワインを飲みむと良く。人と話をしたり社会と関わりを持つこと、そして運動をしたりして、身も心もしっかり動かすことが大切です。

 先ほど紹介したソニー生命の調査では、認知症予防で活用したいツールを尋ねたところ、男性は「麻雀や囲碁などの卓上ゲーム」、女性 は「脳トレアプリ」「計算ドリル集」が人気で6割以上の人が活用したいと答えていました。

 認知症予防の講座も盛んに行われています。ダンス、絵画、パソコン、お話し会と内容もバラエティーに富んでいます。福井県でのパソコン教室はユニークな講座内容で人気を集めています。クラスでは、自宅周辺の地図を書いたり、旅行の計画を自分自身でインターネットで情報を集めて立て、スケジュール記したしおりを作成するのだそうです。今やシニア世代は旅行業界市場をけん引していますから、的を射た講座内容ですね。

「認知症防ぐパソコン教室に注目 鯖江のウォンツが展開」(出典:福井新聞 2014.2.6)

認知症予防対策のパソコン教室(出典:福井新聞 2014.2.6)

できる限り自分のことは“自由気ままに”自分でやる

 エンディングノートは人生の最終ステージにまつわる心配事にたいして、一つひとつ自分の意思をまとめていくことで、先にたいする不安が和らぎ、肩の荷をおろすことができます。しかし安心するのは、今後の生活をより充実させるためであって、何もしなくてもよいこととは違います。

 近頃よく言われているのが、「他人への依頼心がその人の能力を低下させてしまうことになりかねない」と言うことです。過保護に介護することがかえって、症状を重くしてしまうという悲劇です。人の能力は使わないと衰えてしまいます。医師の辻川覚志さんは老後を幸せにするには、「自由気ままに、最後まで、できる限り自分のことは、自分でやること」だ、と述べています。

 老人ホームのデメリットとして、脳はずっと使い続けていればこそ、機能低下を防ぐ効果が期待できるので、至れり尽くせりのサービスを受けることこそが、問題だと言います。また老人ホームでは、食事を食べたくないのに決められた時間に食べなくてはならないなど、集団生活のルールがあり自由気ままな生活が阻害されます。そして集団の中でひとりでくらすことは、ひとり暮らしよりもよけいに孤独を感じると指摘します。

 他の人には面会の人が来るのに、自分にはこないことでさらに、孤独を感じてしまうのです。また老人ホームが郊外にあるいことも多いのも問題だそうです。老後は住み慣れた土地にすむのが良いそうです。辻川医師の調査結果によると、「だんだん動けなくなってきたが、近くのいつものスーパーまでは歩けるので、問題ないという声を聞きました。身体が不自由になってきて行動範囲が狭まったから寂しいという言葉は誰からも一度も、聞かれませんでした」。

 辻川医師が従事する門真市医師会「お元気ですかコール」のサイトでは、いずれは誰にも訪れる“ひとり”のとき。穏やかに暮らすコツをまとめた冊子が無料でダウンロードできます。

介護サービスも“お気軽に”利用

 しかしもう一方で、孤立死のニュースもたびたび聞かれます。最期まで自宅でがんばることが絶対に良いとは一概には言えません。せめてヘルパーさんに来てもらっても良いのに、本人や家族が頑なに外部の介護サービスを拒否するケースも見られます。

 介護サービスは、健康保険と同じく国のサービスです。これまで医療費は、健康保険を使わずに全額を支払って来たでしょうか?介護保険も誰しもに権利がある国のサービスです。頑なになる必要はありません。健康保険の医療サービスと同じように、介護保険の介護サービスを気軽に使うのが当然です。むしろ最後まで自宅頑張るために、賢く介護サービスを利用したいものです。

 核家族が進む中、「老老介護」の問題が取りだたされています。平成22年の厚生労働省の調べによると、介護者の年齢が60歳以上の人が6割を超えていました。

 老老介護は閉鎖的になりやすいと指摘されています。認知症であることや、介護が必要であることを周囲に隠し、最後はふたりで死ぬしかないと考えるケースもあるそうです。孤立介護はストレスがつのり、最悪、虐待に繋がるケースも少なくないようです。

 また「認認介護」、介護する側とされる側のどちらも認知症だというケースも増えています。介護になやんだら抱え込まずに、周りに悩みを話したり、近くの地域包括支援センターや役所に気軽に相談に行きましょう。超高齢化が進む中、介護に無関係の人の方が稀です。むしろ体験談を聞くことが、相手にとっては参考になる場合が多いのではないでしょうか。
 よろしければ、ぜひコトダマ物語にしてくださいね。

【書き方サンプル】

□(例)介護が必要になったときの希望。。。
介護の基本方針:ぎりぎりまで、自分でできることは自分でやります。
介護して欲しい人:ヘルパーさんやなど専門の人を中心でお願いします。
介護を受けたい場所:できるかぎり自宅で、在宅介護をお願いします。
【備考】任意後見人は依頼していません。財産の管理は自分でできる限り、ぎりぎりまで、自分でやります。自力で管理できなくなった場合は、家族に任せます。

[記入日 ○○年○月○日]

 

 山口県田布施町に住む長岡三重子さんは99歳のスイマーです。80歳の時に膝のリハビリのためプールに生まれて初めて入り、95歳からは世界記録11個も達成しています。週に4日、自宅近くのスイミングスクールに通い、3時間かけて1000mほど泳いで練習しています。また長岡さんは旦那さんは亡くなられていて、お子さんたちも独立しているので、今は広い家でひとり暮らしで、毎日の掃除、畑仕事、料理と忙しい毎日だそうです。

遅咲きのスイマー 長岡三重子さん(出典:朝日新聞デジタル 2014.1.2)

遅咲きのスイマー 長岡三重子さん(出典:朝日新聞デジタル 2014.1.2)

 さて今回で介護と成年後見制度は終わりです。次回からは終末医療について紹介します。尊厳死や延命治療をはじめ、エンディンぐノートを各項目の中でも最も肝要なパーツですよ。では次回まで、さようなら~。

 

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