エンディングノートの書き方ノート~4.1.介護・成年後見制度についての希望を書く(1)

介護・成年後見制度についての希望を書く(1)

エンディングノートの書き方ノート|コトダマの里
4.1.介護・成年後見制度についての希望を書く(1)
このシリーズではエンディングノート(終活ノート)を書くときに役立つ情報をまとめてご紹介していきます。4では介護に必要になった場合の希望を書くときに役立つ予備知識を、最近のニュースも含めて紹介します。今回は介護支援の概要と手続きについて取り上げます。

介護トラブルが増加中

 

 女優の赤木春恵さんは88歳で「世界最高齢映画初主演女優」のギネス世界記録を達成しました。その映画「ペコロスの母に会いに行く」はグループホームで暮らす認知症の母みつえの心温まる日常を描いています。 今回から2回にわたって、介護に必要になった場合の希望を書くときに役立つ予備知識を、最近のニュースも含めて紹介します。そのあとの一回で成年後見制度について紹介します。

映画『ペコロスの母に会いに行く』(出典:ピア映画生活)

映画『ペコロスの母に会いに行く』
(出典:ピア映画生活)

 高齢化社会がすすむなか、介護は誰しもに関係する身近な問題です。それとともに介護に関する親族トラブルが急増しているそうです。

“『介護』に関する親族トラブルが急増する背景で 「介護について話し合ったことがない」が約6割”

 “……アンケートの結果、「話し合ったことがない」と回答した人が圧倒的に多く58%という結果となり「「介護問題について話し合ったことがある」と答えた人はわずか12%という結果となりました。続いて「介護問題について考えた事はあるが話し合ったことはない」が12%、「介護が必要な親族がいない」が10%、「介護問題について考えたくない」が5%、「介護の話は避けている」が3%という結果となりました。
 介護問題が原因でトラブルに発展するケースが急増している背景があるにも関わらず、未だに「介護問題を他人事」と思っている実態が浮き彫りになりました。”

 
 このデーターによると「介護問題について話し合ったことがある」と答えた人はわずか1割です。繰り返しになりますが、介護は誰しもに共通する問題です。自分が介護されるだけでなく、自分の家族が要介護状態になって介護する側にまわる可能性もあります。超高齢化社会のまっただ中で、一生介護と無縁で過ごせる方のほうがおそらく少数派でしょう。

 誰に介護をしてもらいでしょうか。夫や妻? 息子夫婦や娘夫婦などの家族でしょうか。それとも家族に面倒をかけたくないから、ホームヘルパーさんなど専門の人でしょうか。介護を受けたいのは住み慣れた自宅でしょうか、それともやはり家族に面倒かけたくないから施設に入りますか。認知症になったらどうしましょう。 財産の管理は……、考えることはいっぱいです。親族トラブルを起こさないためにも、事前に考えておきたいです。

介護保険と成年後見制度とは?

 ある程度の年齢になると、身体の自由がきかなくなったらどうしよう、認知症になったらどうしようという不安がでてきます。そうしたニーズによって生まれた制度が「介護保険制度」と「成年後見制度」です。

 平成12年4月に介護保険制度がスタートし、利用者が事業者と「契約」して介護サービスを受けるようになりました。判断能力が衰えてきて「契約」できない高齢者を支援するため、同時に「成年貢献制度」も始まりました。「介護保険」と「成年後見制度」は高齢者の生活を支えるが「車の両輪」といわれています。

介護保険と成年後見制度

グラフ作成:コトダマの里

介護保険

 介護が必要になるのは、平均的には80歳を過ぎてからのようです。80~84歳では約4人に1人が、85歳以上になると約2人に1人が要支援・要介護状態に認定されています。

 介護保険は40歳以上の人は毎月納めていますので、介護が必要な状態になれば誰もが介護保険の給付をうけられます。しかし、介護保険は年金のように、毎月定額を給付されるものではありません。「介護状態になった際にうけるサービスにかかる費用のうち9割を補助してもらう」という形で受給します。つまり1割の自己負担と言うことですから、システム的には病院の支払いの際の自己負担にむしろ似ています。

 今「1割の自己負担」と書きましたが、2015年8月以降、所得の高い人は「2割」に引き上げられます。引き上げの対象となるのは、収入から公的年金や給与の控除分などを差し引いた「合計所得金額」が年間160万円以上の人です。年金に換算すると「280万円以上」の人が2割負担になります。世帯ではなく、個人単位で所得や収入を判断します。

 “政府は介護保険の自己負担増を柱とする医療・介護制度の見直しに乗り出す。2015年8月から所得の高い人を対象に、介護の自己負担を00年に制度が創設されて以来初めて1割から2割に引き上げる。……
 例えば会社員だった夫(年金で280万円)と、専業主婦の妻(同79万円)で年間収入が計359万円だと、2割負担になるのは夫のみで妻は1割となる。”

「介護保険はこう変わる」 <br />(出典:日本経済新聞 2014.2.11)

 

(1)要介護申請のながれ

 介護が必要になったらまずは介護認定を受けて、介護サービスを受けるのが基本です。要介護認定の調査の日に限って、普段と異なる雰囲気に、おばあちゃんもシャッキリしちゃって、普段答えられないこともスラスラと答えちゃって、結局、介護度が実際より下に認定されちゃたのよ、という話は良く聞きます。支給額は介護度が高くなるほど上がるので、支給限度額が低くなってしまっては困りますよね。このような事態に備えて、家族は「介護日誌」で普段の様子を書きとめておくと、参考にしてもらえるそうです。

<【介護サービスの申請からサービス開始まで
1.申請
市区町村の介護保険担当窓口で手続きします。申請は本人や家族の他、代行申請も可能です。主治医の意見書が必要です。
2.調査をもとに認定
担当者が家庭を訪問して心身の状態や医療ケアの必要性を聞き取り調査します。調査の結果はコンピューター処理され要介護の認定(「非該当」「要支援」「要介護」のいずれか)の一次判定がでます。その後「介護認定審査会」でどの程度介護が必要かを検討し、自立から要介護5のいずれかに認定されることになります。
3.ケアプランの作成・契約・サービス開始
要介護認定を受けると、「ケアプラン」作成します。通常はケアマネジャーに相談して作ります。 次に「ケアプラン」に基づいてサービス事業者と契約し、サービスが開始されます。

 

(2)介護区分と区分支給限度額

 区分支給限度額は介護保険から給付される一か月あたりの上限額です。要支援1ならば、1ヶ月49,700円が上限です。限度額いっぱいに利用した場合の自己負担額はその1割で4,970円です。なお15年8月以降は、高所得者は自己負担は2割に引き上げられるので、9.940円です。支給限度額を超えてサービスを利用した場合は、超過分は自己負担となります。しかし救済制度の「高額介護サービス費制度」があり、一般的な家庭の自己負担額の上限は「37,200 円」になります。この上限額を超える場合は、申請すると払い戻されます。

【介護状態区分と一カ月の支給限度額】
*表の金額は「1ヶ月の区分支給限度額」を示しています。そのうち自己負担額は1割です。
但し2015年8月以降は高所得者の自己負担額は2割になります。
介護状態区分 心身の状態 支給限度額 利用できるサービス
 要支援1 日常生活の基本動作はほとんど自分できる。掃除や食事の支度、買い物など、身の回りの世話の一部に介助が必要。  49,700円 【予防給付】
在宅の介護予防サービスを利用できます。
 要支援2 要支援1の状態から日常生活動作の能力が低下し、食事や排泄、入浴などに部分的な手助けが必要。  104,000円
 要介護1 食事や排泄はほとんど自分でできるが、身の回りの世話に何らかの介助が必要。立ち上がりや歩行が不安定。  165,800円 【介護給付】
在宅と施設の介護サービスを利用できます。
(2015年8月以降、特別養護老人ホームの入所条件は要介護3以上)
 要介護2 食事や排泄、身の回りの世話全般に介助が必要。立ち上がりや歩行が不安定。  194,800円
 要介護3 食事や排泄、身の回りの世話全般に介助が必要。自力 で立ち上がりや歩行ができない。  267,500円
 要介護4 食事や排泄、身の回りの世話、立ち上がり、歩行などの全般に全面的な介助が必要。認識力、理解力などに衰えもある。  306,000円
 要介護5 食事や排泄、身の回りの世話、立ち上がり、歩行などの全般に全面的な介助が必要。問題行動や全般的な理解の低下がみられる。  358,300円

 

(3)介護サービス・介護予防サービスの種類

 介護保険のサービスには要介護の人が利用できる『介護給付』と、要支援の人が利用できる要介護状態になることを予防する『予防給付』があります。要支援は在宅サービスのみの利用で、施設入所サービスは利用できません。介護保険法に基づく対象サービスは、24種類で介護予防を含み52サービスですが、大きく分けると「居住系サービス(在宅サービス)」「施設サービス」「地域密着型介護サービス」の三つにわかれます。

 サービスを提供している業者や施設を検索するの次のサイトが参考になります。

WAM NETでは「各都道府県の介護サービス情報公表サイト」へのリンクが貼られています。

 

1.居宅サービスと介護予防サービス— 訪問サービス・通所サービス・福祉用具貸与など
 居住系サービスは、介護状態になっても、施設ではなく、住み慣れた自宅で介護を受けたい人だけが利用するサービスではありません。有料老人ホームなどの介護保険施設以外の施設でうける介護サービスは在宅扱いになるのです。居宅サービスには、介護や入浴介護、看護、リハビリなどの「サービスを自宅で受けるもの」と、「通所や短期入所によりサービスを受けるもの」、「福祉用具や住宅改修などの費用が支払われる」ものがあります。要支援・要介護の認定を受けた人が利用できます。
 「福祉用具や住宅改修などの費用が支払われる」とは、車いすや介護ベッドなどの介護用品の購入、およびスロープなどの介護のための住宅の改修などに利用できます。自己負担は他のサービスと同じで1割(15年8月以降、高所得者は2割)で、年間の限度額は10万円です。ネットで安いモノを探したり、中古に抵抗がなければ、介護用品のリサイクルショップも沢山あります。ぜひ活用したいです。ただ福祉用具貸与と住宅改修は「高額介護サービス費制度」の対象にはなりません。
(出典:NHKためしてガッテン 2009年07月29日放送)

(出典:NHKためしてガッテン 2009年07月29日放送)

 ところでデイサービス(日帰り介護)を大変楽しみにしている方はとても多いですよね。家族も介護の手を休めることは必要です。お互いリフレッシュの良い機会になっています。デイサービス施設はますます楽しい場所になっているようです。なんだか毎週、遊園地に遊びに行っているみたいですね。
 兵庫県にある豪華客船型のデイサービス施設です。スタッフもちゃんと船員の制服を来ています。施設内にはプールやシアタールームがあり、なんと船内限定の通貨を使ってカジノゲームも楽しめます。
 
クルーズ型デイサービス施設(出典:日本経済新聞 2013.9.16)

クルーズ型デイサービス施設
(出典:日本経済新聞 2013.9.16)

 岩手県の築約100年の古民家を活用したデイサービス施設です。写真を見るだけで落ち着けます。こんなところで是非くつろぎたいですね。
古民家型デイサービス施設(出典:日本経済新聞 2013.9.16)

古民家型デイサービス施設
(出典:日本経済新聞 2013.9.16)

 横浜にあるデイサービス施設では体を動かすゲーム機を介護予防やリハビリに役立てています。モグラたたきのような懐かしいゲームもあるそうです。楽しそうですね。
ゲームを楽しめるデイサービス施設(出典:日本経済新聞 2013.9.16)

ゲームを楽しめるデイサービス施設
(出典:日本経済新聞 2013.9.16)

2.施設サービス–介護保険施設への入所
 要介護1~5の人は、介護保険施設に入所し、介護や看護、リハビリテーション、療養などのサービスを受けることができます。介護保険施設とは介護保険上は「特別養護老人ホーム(いわゆる特養)」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」の3つです。サービスの対象は要介護の人のみで、要支援のひとは利用できません。介護保険施設はこれまでは原則的には要介護1以上ならばだれでも申し込めたのですが、人気の特別養護老人ホームは2015年8月以降、入所できるのは原則として、手厚い介護が必要で自宅では負担が重い「要介護3」以上になります。要介護度の低い人は施設から在宅へという流れが進んでいます。
 
特別養護老人ホームを訪問する浩宮様(出典:宮内庁 2010.7.29)

特別養護老人ホームを訪問する浩宮様
(出典:宮内庁 2010.7.29)

3.地域密着型介護サービス
 地域密着型介護サービスは、認知症の人や要介護度が重度ではない人が、住み慣れた土地での生活が継続できるようように、新しく追加された介護サービスです。夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)などがあり、要支援・要介護の認定を受けた人が利用できます。
 グループホームの特徴は「自立支援」です。「認知症対応型老人共同生活介護」と呼ばれ、認知症のある要介護の方々が、認知症の専門スタッフの援助を受けながら、小人数、一般の住宅で共同生活をする施設です。入居した人たちは、それぞれの能力に応じて、料理や掃除などの役割を分担しながら、自立した生活を送ります。自宅で過ごすようなアットホームな雰囲気のなか生活を送ることができます。
高齢者施設、定員オーバー 宮城・岩手で計1400人(出典:朝日新聞デジタル 2011.6.26)

グループホーム
(出典:朝日新聞デジタル 2011.6.26)


 さて今回はいかがでしたでしょうか。次回は、介護施設についてもう少し詳しく説明します。介護施設には上記で述べたような介護保険上の施設入所サービスとなる「介護保険施設」と、老人ホームや話題のサ高住などの「介護保険以外の施設」の違いあります。また、介護の費用についても紹介したいと思います。お楽しみに。

 

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