エンディングノートの書き方ノート~3.2.墓・埋葬についての希望を書く(2)

墓・埋葬についての希望を書く(2)

エンディングノートの書き方ノート|コトダマの里
3.2.墓・埋葬についての希望を書く(2)
このシリーズではエンディングノート(終活ノート)を書くときに役立つ情報をまとめてご紹介していきます。3.2ではお墓を建てたり、引き継いだりするときの注意事項について説明します。

根強い家墓志向

 日本にはお墓参りをする習慣が根強くあります。第一生命の2010年の調査では、「先祖代々のお墓」に入りたい人が39%ともっとも多く、次いで多い「今の家族で一緒に入るお墓」が25%と続きました。納骨堂や合葬墓などの新しいスタイルが登場しても、家墓志向が強いようです。同じ調査で墓に対する意識を尋ねたところ、「先祖は私たちを見守っている気がする」という考えが老若男女問わず多く見られました。

あたらしくお墓を買う

(1)費用

 新しくお墓を建てるには、墓石の費用以外にも費用がかかります。一般的に「墓地の永代使用料」、「墓石建立の工事費」、「年間の管理料」、「開眼供養のお布施」がかかってきます。

 「開眼供養(カイゲンクヨウ)」は新しくお墓を建てたとき、お墓を単なる石から、霊の宿る「お墓」にするために、お墓に魂を入れる法要で「魂入れ」とも呼ばれます。納骨がある場合は、納骨式も一緒に行なわれます。

 お墓建立の費用は、地域差や、お墓の区画の広さや、墓地の経営内容によってまちまちですが、民営墓地で永代使用料を含める場合、総額約200万~300万円程度が相場と言われています。尚、寺院墓地の場合は、新しく檀家に入るお寺への檀家料が別途必要です。
 民営、公営など墓地の種類については次項で触れます。

お墓建立の費用

 

(2)永代使用料

 永代使用料とは、墓地を代々使用する権利「永代使用権」を取得するための費用です。永代使用料は地域差や、お墓の区画の広さや、墓地の経営内容によってもさまざまですが、東京の平均がおおよそ100万円と言われています。墓地が転売はできないとよく聞きますが、お墓を買うということは、つまり永代使用の権利を買うことであって、土地を買うことではないのです。ただ一旦支払った永代使用料は、たとえお墓を手放したり、契約を解除したりしても、通常は戻ってこないのだそうです。

(3)墓石

 震災以降、お墓のかたちに主流に大きな化が起きているようです。震災後の相次ぐ地震被害でお墓の倒壊が相次ぎ、伝統的な縦長の和型のお墓から、倒壊リスクの少ない安定した横長の洋型を選択する人が増え、2010年全国優良石材店の会が行った「お墓購入者アンケート調査」では伝統的な和型を選ぶ人が半数を割り、その後も減少し続けているそうです(『葬儀相続エンディングノート2012年版(週刊ダイヤモンド別冊)』を参照 )。

墓石のかたち

 

 墓石の価格は石材により異なりますが、おおよそ150万円が平均と言われています。墓石費用には石材費や加工費の墓石本体にかかる費用の他に、墓地の基礎工事、外柵や納骨棺などのお墓の設置費用もかかってきます。

 素人目には分からないのをいいことに、「国産のブランド石」と偽わって海外産の安い墓石を売りつける悪徳墓石屋の話も聞きます。墓石は家と同じように、買った後もメンテナンスが必要なだけに、信用できる墓石屋を選びたいです。

信頼できる墓石屋を選びのポイント

  • 地域に根差して営業している(地元で長く営業している店は実績もある)
  • 相談や要望に応じてくれる
  • 見積もりが明確
  • 基礎工事をしっかり行う
  • メンテナンスなどアフターサービスがしっかりしている
  • 保証書、日本石材産業協会認定の「石材産地証明書」の発行

お墓を引き続ぐ(承継する)

(1)お墓は祭祀財産

 既にお墓があって、それを引き継ぐ場合、お墓は祭祀財産として引き継ぎます。相続財産ではないので相続税はかかりません。お墓は法的には親族に限らず誰でも引き継げるのですが、墓地・霊園の規則で「三親等以内の親族」など血縁関係に限定しているところが多いそうです。かつてはお墓は引き継ぐ人「承継者」がいないと無縁仏になってしまうので永代供養に切り替えて対応していましたが、最近はたとえ承継者候補がいたとしも、「独立した子供達に、親の供養で負担をかけたくない」などの理由で、永代供養を希望する人が増えています。

(2)お墓の承継者の役目

 実務的には、お墓を引き継ぐことは、お墓の「永代使用権」を引き継ぐことを意味します。事務手続きとして、墓地・霊園に名義変更届けを提出し、変更手数料、お布施や寄付を支払うことが多いようです。承継を役所へ届け出する必要はありません。なお永代使用権の名義変更届けは速やかに提出するのが良いようです。墓地・霊園によっては申し出に期限を設けていて、万が一過ぎてしまうと墓地の使用権が消滅してしまうそうです。

 承継者はお墓の維持管理、法事の主宰、またお墓が寺院の場合は「檀家としてのお務め」も引き継ぎますので、お寺の行事への参加やお布施や寄付の義務も生じます。長期にわたる管理料の支払いなど経済的な負担だけでなく、時間もとられて結構大変です。そのため遺言で承継者の相続分を増やすなど配慮することも多いそうです。

お墓の承継者がやること

 

 誰が「仏壇」引き継ぐかで、もめることも多いそうです。お墓だけではなく、「仏壇」を誰が面倒見るかについても、あわせて考えておくのが良いかもしれません。

小型でおしゃれ 家具調仏壇<br />(出典:読売新聞 2013.8.3→YOMIURI ONLINE)

家具調の仏壇
(出典:読売新聞 2013.8.3→YOMIURI ONLINE)

お墓を移す(改葬する) 

(1)改装の手続き

 「改葬」とは、一度埋葬したご遺骨やお墓などを、他のお墓(納骨檀)に移すことです。いわばお墓のお引っ越しです。「お墓が遠方で墓参りに行けないので移転したい」「承継者がいなく、お墓を守れないので永代供養の合葬墓に移したい」「夫婦それぞれが引き継ぐお墓が二つあるので、お墓をひとつにまとめたい(両家墓)」など昨今は改葬の理由も多様化しています。

 改葬の手続きは複雑ではないですが、ソフト面における配慮が大切です。菩提寺がある場合は檀家から抜けること(離檀)になるので、なぜ改葬するのか事情を説明します。また、親族のなかには墓の移転を快く思わない人もいるかもしれません。事情を説明して理解を得る努力も必要になります。

改葬の手続き

 

(2)改装の費用

 改葬の費用は「お墓の撤去・移転先の墓地の使用料・墓地の工事」などを合わせると、おおむね200万~300万円が相場のようです。改葬には「古いお墓でかかる費用」と「新しいお墓でかかる費用」の他に、運搬費や移動にかかる交通費もかかります。

 古いお墓は閉眼供養をして魂抜きをした後、更地に戻して返します。お墓の撤去も含めて工事は墓石屋に依頼します。価格に幅があるようですので、墓地や霊園の指定がない場合は、数社から見積もりを取った方が良いかもしれません。なお繰り返しになりますが、古い墓地で支払った永代使用料は基本的には戻ってきません。

改葬の費用

 

墓地 霊園の種類と特徴

 お墓探しのポイントは「アクセスの良さと価格」だそうです。価格は言うまでもないですが、お墓の場所が遠かったり、不便な場所にあると、遺族がお墓参りするのが大変になるのでアクセスも重要なポイントになります。

 墓地は経営・管理する主体によって、「寺院墓地」「公営墓地」「民営墓地」の3種類に分けられます。公営墓地は、永代使用料や管理料が安く、場所も良いところが多いので、とても人気があります。そのため抽選の競争率が数十倍に上ることもあります。

【墓地 霊園の種類と特徴】
 寺院墓地  公営墓地 民営墓地(一般霊園)
 お寺が運営するお寺の境内にあるお墓。基本的には檀家のみが使用できる。但し樹木葬など永代供養墓については宗教・宗派を問わず受け入れる寺院が増えている。  都道府県や地方自治体および自治体から委託をうけた公益法人が経営管理している。  営利を目的としない、公益法人や宗教法人などが許可をうけて運営している民営の墓地・霊園。 なお一般企業による墓地運営は許可されていない。
  • お寺の檀家、お寺の宗派の信徒となる
  • お墓参りと供養が同時に出きて通常は管理も良い
  • 交通アクセスの良い所が多い
  • 比較的費用が高い
  • 墓石屋指定が多い
  • 檀家としての経済的な負担が大きい、寺の行事への参加が求められる
  • 墓地の募集はあまり多くない
  • 宗教宗派は問わない
  • 永代使用料・管理料が安い
  • 墓石屋が自由に選べる
  • アクセスの良い所が多い
  • 墓地の募集数が少なく競争率が高い
  • 応募に条件がある。「手元に納骨していない遺骨があり、その自治体に住んでいる」など応募資格を満たす必要がある。
  • 宗教宗派は問わない
  • 公営墓地に比べると永代使用料・管理料は高いが、応募条件はゆるやか
  • 墓石屋指定が多い
  • 大規模開発で作られ、景観が良いところが多い
  • 場所は郊外が多く、交通アクセスはよくない
  • 数が多く常に墓地の募集している
  • 運営母体により管理の質のバラつきがある
  • 民営なので経営破たんする恐れもある。経営状態など運営主体の見極めが重要

 

【書き方サンプル】

【書き方サンプル】埋葬について希望
埋葬の希望:新しいお墓を用意しています。
墓地の名称:○○霊園 契約者本人
 (住所)東京都新宿区○○X-X-X (電話・FAX)XXXX-XXX-XXX
お墓を承継してほしい人:長男 ▲▲
 わたしの預貯金を使って、新しい仏壇を購入してください。
 お墓と仏壇の管理は長男・▲▲に依頼済み。

[記入日 ○○年○月○日]

 俳優の三國連太郎さんは『戒名もいらない。散骨して誰にも知らせるな。三國連太郎のままでいく』と言っていたそうです。

「戒名はいらない」
「散骨して誰にも知らせるな」
「三國連太郎のままで逝く」

 三國さんは、病床で佐藤さんにこんな言葉を遺していた。4月17日に、静岡県沼津市の自宅で行われた葬儀では、遺言通り、位牌には、戒名でも、本名の「佐藤政雄」でもなく、「三國連太郎之霊位」とだけ綴られ、密葬形式で行われた。

佐藤浩市、死に目に会えず…父・三國連太郎さん死去に沈痛<br />(出所:シネマトゥデイ 2013.4.15)

佐藤浩市(左)と三國蓮太郎(右)
(出所:シネマトゥデイ 2013.4.15)


 しかし息子で俳優の佐藤浩市さんは、ひとつだけ遺言に背き散骨ではなく “納骨したい”と言って譲らなかったそうです。エンディングノートは希望を伝えられますが、確実に実行されるとは限りません。生前に家族の理解を得ていないと、最終的には遺族の考えが優先されます。

 今回でお墓、墓地については終わりです。従来型の家墓が根強く人気な一方で、樹木葬はじめ新しい埋葬スタイルも話題を呼んでいました。さて次回からは、介護と成年後見制度についてご紹介していきます。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)