『恍惚の人』(東宝,1973年)

『恍惚の人』(東宝,1973年)(出典:ameblo.jp/showa-retoro/)

有吉佐和子さんブーム再び…「おしゃれ」「快活」新たな一面

 作家の有吉佐和子さんが亡くなって今年で30年。

 初の長編『処女連トウ(れんとう)』をはじめ“月刊有吉”のペースで復刊している。戦後の働く女性を描く初期作品は、娘で作家の有吉玉青(たまお)さんが「わたしのなかの母に近い」というおしゃれで快活、たくましい作品。再ブームにより、社会派という従来のイメージにかわる新しい有吉像が生まれようとしている。

 今年は作家の有吉佐和子さんが亡くなって30年になります。それを記念して有吉さんの初期の作品が続々復刊されるようです。

 言うまでもなく有吉さんは現代日本を代表する作家の一人ですが、わたしのイメージでは、その時々の時代背景と女性の生き方のつながりを描くことに関しては他の追随を許さない傑出した洞察力のある作家、です。

 その意味ではまさしく「社会派」作家だったと思いますが、復刊される初期の作品群は仕事を持って自立して生きていこうとする女性の等身大の姿を描くものが多いそうです。これはあの『アナと雪の女王』の「ありのー ままのー すがたみーせるーのよ~♪」の時代ムードにぴったりですよね。面白そうなので今度ぜひ読もうと思っています。

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認知症]長寿国の現実(4)仕事、家族失う働き盛り

 タタタタタン――。昼食に使うキャベツを千切りする包丁の音が、東京都内のデイサービスセンターの室内に響き渡る。「1秒に何回切れるの?」。速さに感心した認知症の高齢者の質問に、「30万回だよ」。冗談で答える男性(57)もまた、認知症の本人だ。
 東京・銀座の仏料理店などで料理人として腕を磨き、51歳の時、念願の自分の店を持った。だが、その直後に異変が表れた。ドライブやサーフィンを楽しむ行動派だったのに、やる気が出ず、疲れも取れない。うつ病を疑った。
 妻の勧めで受診したところ、54歳の時に若年性のアルツハイマー型認知症と診断された。思いもよらぬ結果に驚き、「仕事のこと、子供のこと、一体どうなるのかと頭がパニックになった」という。

 それから人生が一変。周囲に諭されて店を畳み、数百万円の借金返済のために妻が働いて家計を支えた。しかし、疲れ切って追い詰められた妻の求めで、今年に入って離婚。2人の子供は妻が引き取った。
 現在は生活保護を受けながら、ボランティアとして料理の腕を振るう。だが最近は、調理の段取りを考えるのが難しくなってきた。「車の免許も何もかも取り上げられたけど、妻や子供に迷惑はかけたくない。先のことはあまり考えないようにしている」と男性は話す。

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[認知症]長寿国の現実(3)成年後見、量も質も不足

 成年後見制度は、高齢者の判断力の低下部分を補い、できるだけ自立した生活を送ることができるようにと導入された。だが、認知症高齢者が少なくとも200万人を数え、独り暮らしの人も増加する中、量も質も追いついていない。

 東京都内の80歳代の女性は2002年、あるNPOと「任意後見契約」を結んだ。将来、判断力が落ちた時に後見人になってもらうためだ。
 生活の見守り支援を受ける契約も結び、少なくとも170万円余りを預けていた。後に女性は軽度の認知症になったが、こうした支援があれば普通に暮らせるはずだった。
 だが約束は果たされなかった。08年、行政側が確認したアパートの一室には腐った食べ物が散乱、尿の臭いがこもる中に女性が座り込んでいた。預金が数万円単位で頻繁に引き出されていたが、女性には何のためか分からない。健康状態も悪化していた。
 弁護士らが協力してNPOとの契約を解除、社会福祉士が後見することになった。女性は今、グループホームで暮らすが、社会福祉士は「もう少し早く支援が受けられればこんな目に遭わせなかったのに」と思う。

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[認知症]長寿国の現実(2)初期症状を把握、集中支援

 台所の床に魚の骨が散らばり、浴室には汚れた衣類が乱雑に積まれている。
 「上の階から水が漏れている」という住民からの苦情を受け、東京都内の地域包括支援センターの職員は6月、90歳代の夫婦が暮らすアパートを訪れた。
 「何も困ってませんよ」
 夫はそう話すが、無言で奥の部屋へ消えた妻の肌着は、便を漏らした跡で茶色く汚れている。職員は「夫婦とも認知症の疑いがあり、いずれ生活が成り立たなくなる」と感じ、介護保険の利用を勧めたが、夫は断った。
 「認知症と自覚せず、問題ないと話す高齢者が多い。早めの支援があれば、普通の暮らしを続けられるのに」と、職員はため息をつく。

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認知症患者数の将来推計(出典:平成23年11月2日中央社会保険医療協議会資料)

認知症患者数の将来推計
(出典:平成23年11月2日中央社会保険医療協議会資料)

 厚生労働省老健局が2002(平成14)年に実施した将来推計によると、2005(平成17)年の要介護認定が自立度Ⅱ以上の認知症患者数は169万人、2015(平成27)年には250万人にのぼるとされている。

 言うまでもなく、認知症は本人にとっても深刻な病気であり、周囲の家族にとっても世話や介護で多大な負担となる。ただ、「終活」の文脈で考えると、とりわけ遺言・遺書の作成に関して大きな問題となる。というのも、遺言・遺書を作成する本人の「遺言能力」が遺言・遺書の法的効力の前提条件となるからである。

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