NHKスペシャル『臨死体験~立花隆 思索ドキュメント 死ぬとき心はどうなるのか』

NHKスペシャル『臨死体験~立花隆 思索ドキュメント
死ぬとき心はどうなるのか』

 

 人間の心にはいろいろな矛盾がある。その一つは、「真実を知りたい」という気持ちと同時に「真実を知りたくない」という気持ちがあることだ。そしてこの矛盾がもっとも峻烈な形で現れるのは、「死」についてだろう。

 つまり、死についてのて真実を知りたいという気持ちは最大限に強い一方で、いわばその反作用として、真実を知りたくないという気持ちも最大限に働く。ゆえに死について考えることは、人間の心に最大限の葛藤をもたらす。

 ただいずれにしても死は人生における最後にして最大のイベントなので、とりあえず真実を知る方向でほどほどに――度が過ぎると健康に良くないと思われる――考えてみることは有意義なことであろう。

 このとき頼りになる人物の一人は、ノンフィクション作家の立花隆氏である。「頼りになる」のは、博識だからとかとか本をたくさん書いているからとかという些末な理由からではなく、立花氏の「真実を知りたい」という気持ちが「真実」だと思えるからだ。余談だが「ノンフィクション作家」という呼び方は立花氏によく似合う。自分が真実だと思ったことを他人に分かりやすく伝える能力は当代随一であることは誰しも認めるだろう。

 その立花氏が「臨死体験」についての「真実」を追い求めたドキュメンタリーが、先日9月14日に放送されたNHKスペシャル『臨死体験 死ぬとき心はどうなるのか』だ。

 立花氏はすでに『臨死体験』という著作を1994年に著している。今回のドキュメンタリーはそれから20年後の現在、臨死体験の謎の解明はどこまで進んだのか、ということがテーマである。

 以下ではまず番組の内容を概略したうえで、最後にごく簡単に感想を述べておく。

続きを読む