自動搬送式納骨堂(出所:日経トレンディネット)

自動搬送式納骨堂
(出所:日経トレンディネット)

樹林墓地、ロッカー式納骨堂…進化した“終活”の最新事情

 エンディングビジネスが乱世に突入している。2012年の人口動態統計では、死亡者数が過去最多を記録し、日本の死亡者数は40年まで増えていく見通しだ。昨年の「流行語大賞」トップ10には「終活」がノミネートされ、イオンが各店舗で開催した終活セミナーには年間約2万人が参加するなど、人々の終活への関心も高まる一方だ。

 旅行大手のクラブツーリズムも、昨年に終活講座を開講し、都内の納骨堂見学ツアーも実施。今年9月からは、規模を拡大して開講する。さらに、インターネットプロバイダーのニフティは6月に“終活サイト”をオープンし、葬儀や墓、遺品整理などの業者と連携。資料請求や見積もり依頼などのサービスを提供するなど、終活には、業界の内外からも熱視線が注がれている。

 終活の根幹をなすのは、生前に葬儀や墓などの準備をしておくこと。葬儀は、異業種の参入が相次ぎ競争が激化する一方、「“供養産業”といわれる墓、葬儀、仏具のなかで最も成熟していなかったのが墓。だがここ数年、多様化が明確になってきたと感じる」と言う業界関係者もいる。変化を続ける墓の最新事情を探った。

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若宮霊園の「自然樹木葬苑」(出所:西日本新聞)

若宮霊園の「自然樹木葬苑」
(出所:西日本新聞)

「樹木葬」人気高まる~「墓守る負担、子に残さない」

 木の下に遺骨を埋葬する「樹木葬」が関心を集め、実際に利用する人も増えている。この夏、東京都の樹林墓地には定員の16・3倍に上る応募者が殺到。福岡県内の民間霊園には春以降、月に100人以上が見学に訪れている。墓石を買うよりは一般に安価とされ、「自然に返る」という考えも共感を呼んでいるようだ。核家族化や少子化が進み「墓の管理で子どもに迷惑をかけたくない」と自ら選択する高齢者も増えているという。
 葬送に詳しい井上治代東洋大教授(社会学)によると、樹木葬は1999年、岩手県一関市の祥雲寺で始まった。墓地造成による周辺の里山の破壊を避けるためだった。関連の報道で関心が高まり、東京、山口、大分などに広がっていった。
 海や山への散骨とは異なり、樹木葬は墓標があるため、供養もできる。先祖代々の墓を改葬して「自分の代で、墓の管理は終わらせたい」と申し込む人も多いという。

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横浜市営霊園の樹木葬墓地

横浜市営霊園の樹木葬墓地

「家の墓」より「自分の墓」を選びたい

 墓地めぐりを重ねるうちに、立派な墓を建てても末永く継承できるとは限らない、という懸念が頭をかすめるようになった。息子は遠方で暮らし、娘は他家に嫁いだという家庭は、我が家も含めて少なくないだろう。その先の孫の世代になると、さらに不透明だ。墓守がいなくなった無縁墓が増えているという話もよく聞く。
 いっそ、家代々の墓というより、継承不要で、納得できる自分個人の墓を選んだ方がいいかもしれない。それなら、石とコンクリートに囲まれた狭くて高価な墓より、やわらかい土の中で眠りたいものだ。最近は墓石の代わりに木を植える樹木葬が注目されているらしい。

 特定非営利活動法人(NPO法人)エンディングセンターが運営する墓地は、見晴らしの良い郊外の丘陵地にある。定刻前だったが、既に定員いっぱいの約50人が詰めかけていた。60歳代の人が多い。「毎月見学会を開いているが、最近は申し込みが定員を上回るようになった」と担当者が話す。
 センター理事長の井上治代・東洋大教授は「我々の予想を超える支持と反響を得ている」と話す。3年前をはるかに上回る見学会の盛況ぶりを目にして、「時代の要請なのだろう」とあらためて実感した。

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