映画『おくりびと』(出典:Amazon)

映画『おくりびと』(出典:Amazon)

「看取りの場所」から「帰るホスピス」へ

 「ホスピスは看取(みと)りの場所」と思われがちだが、「今後は『帰るホスピス』が増えていく」との声が上がっている。高齢化でがん患者が増える中、痛みの緩和などのホスピスケアを、必要な人が等しく受けるにはどうすればいいだろうか。

 越川病院(35床)は緩和ケア病棟ではないが、越川貴史院長は病棟を「帰るホスピス」にしたいと考えている。入院患者の8割超が再発がん。在宅医療も行うため、医療用麻薬を使いながら退院する患者も多い。「状態が悪いときは緊急入院してもらい、痛みのコントロールが済んだら、再び家に帰れるようにできたらベスト」と言う。

 海外では「帰るホスピス」はごく一般的。日本でもこうした利用が増える背景には、従来の「看取る」ホスピスが利用しづらくなっていることがある。「都心では半年も入院を待つ例もあり、元気なうちからホスピスを探さなければならない」(越川院長)のが現状。柔軟に入退院ができれば、より多くの人が、必要なときにホスピスケアを受けられるようになる。

……(中略)……

 患者像の変化もある。従来のホスピスは一般に、治療を終えた人が対象。だが、「分子標的薬などの登場で、ぎりぎりまで抗がん剤治療をする患者さんが出てきた。多様化するニーズに合わなくなっている」(越川院長)。国の「がん対策推進基本計画」では「診断されたときからの緩和ケア」も盛り込まれた。誰もが痛みなく治療を受け、穏やかに逝くにはどうすればいいのか-。

 現場では模索が続いている。

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「婦人公論」11月22日号/中央公論新社

「婦人公論」11月22日号/中央公論新社

自分探しより墓探しをしろ!?~「婦人公論」が説く“理想の最期”とは

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は、「40代から向き合う『理想の最期』」です。
 特集は、辛酸なめ子さんをはじめ、さまざまな著名人が“理想の最期”について語っているほか、エッセイストの酒井順子と医師の中村仁一による対談「『ポックリ』と『自然死』、どちらが楽ですか?」や、葬儀ライター(という肩書きの方がいらっしゃるんですね!)による「お金をかけない葬儀のテクニックあります」、ルポ「親にすんなりと遺言書を書いてもらうには」など実用的な記事も掲載されています。自分の死だけでなく、親の死にも役立つ内容です。
 酒井順子は、医師との対談で「独り身であるからこそ、自分向きの死を選ぶことができそうで、安心して最期を迎えられる気がしてきました」とコメントしていました。別の「『おひとり死』の準備は元気なうちにはじめる」という記事では、「死ぬぎりぎり直前まで、自分らしく幸福に生きていけるように、今からできることをはじめましょう」と唱っていました。はたまた読者体験記では、8年前に乳がんの手術を受けた女性(50歳)が、「私はできるだけ自分が納得できる形で最期を迎えたい」と綴っていました。これら「自分向きの死を選ぶ」「死ぬ直前まで自分らしく」「自分が納得できる最期」は、本特集のキーワードだと思われます。

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主な死因別死亡数の割合

主な死因別死亡数の割合

「96%該当」の覚悟 50代からの相続対策のタイムリミット

 もしも、遺言書が作成できる年齢に達する15歳以上の人が死亡してしまうとすれば、どのくらいの年齢である可能性が高いのでしょうか。厚生労働省の人口動態統計によると、平成23年に死亡した人の年齢別構成のうち、15歳以上が占める割合を100%とした場合、50代以上が実に「96%」を占めている、ということがわかります。
 また、今度は死因順位別の死亡数を見てみると、別の現実が浮かび上がってきます。実は、老衰や慢性の肺疾患など、ゆるやかな形で進行していく最期というものは、割合としてはあまり多くありません。心臓発作や急性肺炎、脳出血や交通事故など、予想や準備ができない形で急逝してしまう可能性を含んだ死因が、総数で見るとかなり高い割合を占めていることがわかります。

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"介護施設のチェック"の前に考えるべきこと

“介護施設のチェック”の前に考えるべきこと

高齢者介護施設 どの施設がいいかチェックポイント7つ紹介

 全国で約530万人が介護認定を受け、認知症の人は推計約305万人にのぼる高齢社会ニッポン。「なんだかんだいっても、介護は娘、嫁、妻が負っている」(主婦・62才)、「介護のせいで派遣の仕事を辞めた」(主婦・43才)など不満が渦巻くなか、頼った施設がこの世の地獄だったという話も増えている。
 絶対に間違えたくない介護施設選び。見学に行ったときのチェックポイントは以下のとおり。
 【衛生面】
 ・においはひどくないか
 ・玄関などの造花にほこりがたまっていないか
 ・トイレに黒ずみはないか
 【サービス内容】
 ・経営理念に共感できるか
  地域説明会や勉強会で経営者と会う。
 ・現場の人は理念を共有してるか
  施設長などスタッフと話をしてみる。
 ・ケアプランに納得できるか
  「名前を伏せてケアプランを見せてください」と聞いてみる。ただし個人情報なので断られる場合もある。
 ・最期まで住めるか
  看取りの件数や様子を聞いてみる。

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[認知症]長寿国の現実(2)初期症状を把握、集中支援

 台所の床に魚の骨が散らばり、浴室には汚れた衣類が乱雑に積まれている。
 「上の階から水が漏れている」という住民からの苦情を受け、東京都内の地域包括支援センターの職員は6月、90歳代の夫婦が暮らすアパートを訪れた。
 「何も困ってませんよ」
 夫はそう話すが、無言で奥の部屋へ消えた妻の肌着は、便を漏らした跡で茶色く汚れている。職員は「夫婦とも認知症の疑いがあり、いずれ生活が成り立たなくなる」と感じ、介護保険の利用を勧めたが、夫は断った。
 「認知症と自覚せず、問題ないと話す高齢者が多い。早めの支援があれば、普通の暮らしを続けられるのに」と、職員はため息をつく。

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家族で「死」の話はタブー? 今を有意義に生きるための終活

 人生の終えんを考える「終活」がメディアでもクローズアップされている。
 それに伴い高齢者の不安や悩みなど終活をサポートするための身近な専門家を養成する「終活カウンセラー検定」は数カ月先まで予約が埋まるほど多くの人の関心を集めており、年内には500名のカウンセラーが誕生するという。
 自分の死後、残された遺族のためにと、資産整理や相続、葬儀や遺影の撮影、お墓などについて、事前に書き記しておくエンディングノートは今だ人気が継続しているが、終活の活動は人生を有意義に生きる目的としても重要視されている。

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