ピースハウス病院

Photo via Nurse Park

日野原重明氏肝いりのホスピス、休止へ 定額制で経営難

 聖路加国際病院名誉院長の日野原重明氏の肝いりでできた日本初の完全独立型ホスピス「ピースハウス病院」(神奈川県中井町、21床)が、今月31日で休止することがわかった。日本での草分けとされるホスピスの休止に、関係者も衝撃を受けている。

 同病院は、他の診療科を持たず、がん患者らの心身の痛みを和らげる緩和ケアのみを行う「完全独立型」のホスピス。1993年、約6億円の寄付を受けるなどして開設された。

 関係者によると、同病院は厳しい経営状況が続いていたという。ホスピスは、入院料が定額制のため、手厚い医療行為をすると、利益が出ないこともあるという。関係者は「独立型は、一般病棟で利益を上げることができないので経営は厳しい」と明かす。

続きを読む


living-will

photo credit: Ken_Mayer via photopin cc

 先般、「尊厳死法案」が国会に議員立法として提出される動きがあったのをきっかけに「尊厳死」についての議論がまた活発化したようだ。

 法案の是非はともかく「議論」が活発化するのは良いことだ、と当初思っていたのだが、どうも少し――というか、わたしから見ると根本的に――「議論」の焦点がずれているように思われる。これについては以前も若干述べたが、コトダマの里の理念にも関わることなので改めてポイントだけ簡潔に書いておくことにした。

続きを読む


映画『おくりびと』(出典:Amazon)

映画『おくりびと』(出典:Amazon)

「看取りの場所」から「帰るホスピス」へ

 「ホスピスは看取(みと)りの場所」と思われがちだが、「今後は『帰るホスピス』が増えていく」との声が上がっている。高齢化でがん患者が増える中、痛みの緩和などのホスピスケアを、必要な人が等しく受けるにはどうすればいいだろうか。

 越川病院(35床)は緩和ケア病棟ではないが、越川貴史院長は病棟を「帰るホスピス」にしたいと考えている。入院患者の8割超が再発がん。在宅医療も行うため、医療用麻薬を使いながら退院する患者も多い。「状態が悪いときは緊急入院してもらい、痛みのコントロールが済んだら、再び家に帰れるようにできたらベスト」と言う。

 海外では「帰るホスピス」はごく一般的。日本でもこうした利用が増える背景には、従来の「看取る」ホスピスが利用しづらくなっていることがある。「都心では半年も入院を待つ例もあり、元気なうちからホスピスを探さなければならない」(越川院長)のが現状。柔軟に入退院ができれば、より多くの人が、必要なときにホスピスケアを受けられるようになる。

……(中略)……

 患者像の変化もある。従来のホスピスは一般に、治療を終えた人が対象。だが、「分子標的薬などの登場で、ぎりぎりまで抗がん剤治療をする患者さんが出てきた。多様化するニーズに合わなくなっている」(越川院長)。国の「がん対策推進基本計画」では「診断されたときからの緩和ケア」も盛り込まれた。誰もが痛みなく治療を受け、穏やかに逝くにはどうすればいいのか-。

 現場では模索が続いている。

続きを読む


オランダにおける安楽死(出典:The Sunday Morning Herald)

オランダにおける安楽死
(出典:The Sunday Morning Herald)

安楽死専門クリニック 昨年開業後患者が殺到・処置は無料

 2002年に安楽死法が施行されたオランダでは、安楽死数は2006年に約1900人だったが、2012年には約4200人までに増えている。これは同国の年間死亡者数の3%にも上る数だ。

 安楽死数が増えている背景について、オランダ政府は「理由を明確に説明できない」としているが、同国内では“安楽死専門クリニック”の活動がその一因と考えられている。

……(中略)……

 クリニックを訪れるのは、かかりつけ医に安楽死処置を拒まれた患者が多いという。法律で定められているのは“医師が刑事罰に問われない”ということだけで、処置は義務ではない。信条や経験の有無から処置を拒む医師も多いのだ。クリニックはまさに、死に場所を求める人々の“駆け込み寺”なのである。

 処置数が急増する背景はそれだけではない。2011年11月、重度のアルツハイマー病を患っていた64歳の女性に安楽死が行なわれたことが明らかになった。それまで、認知症が進んだ患者に「自発的な意思表示」ができるのかが疑問視されてきたため、処置は行なわれてこなかったが、初めての事例になった。女性は8年前から「老人ホームに入ったら、その際には安楽死を望む」と紙に書き残していたという。

 また、今年6月には、死に直面している新生児を見るに耐えられない親は、医師に安楽死を求めることができるようになった。同国の年間出生数約17万5000人のうち、およそ650人が、その例にあたるとされる。

続きを読む


「事前指示書について」(出所:厚生労働省「平成24年度人生の最終段階における医療に関する意識調査速報」)

「事前指示書について」
(出所:厚生労働省「平成24年度人生の最終段階における医療に関する意識調査速報」)

尊厳死、自然死ブームの裏側にあるもの

 「胃ろうしてまで生きたくない」「無駄な延命措置はしてほしくない」。日常の会話の中でも、こうした言葉を聞くことが多くなった。

 やがて訪れる人生の終末期に、自分はどのような医療を受けたいか。6月27日、厚生労働省が発表した「人生の最終段階における医療に関する意識調査」によって、終末期に国民が望む医療の姿が明らかになった。

 同調査は、無作為に抽出した20歳以上の男女5000人に郵送で調査を依頼し、44%の2179人から回答を得たものだ。がん、心臓病、認知症、交通事故で回復の見込みがなくなった場合に、どこで過ごしたいか、どのような医療を希望するかなどを調査している。

 病気ごとに質問項目は若干異なるが、全体的に、肺炎になったときの抗生剤、水分補給の点滴は望むが、鼻や胃からの経管栄養、人工呼吸器の使用、心臓マッサージなどの蘇生処置は望まない人が多いようだ。とくに、胃ろうを望まない人は多く、7割以上は望まないという結果となっている。

 同調査では「事前指示書」についての質問もある。認知症などになって自分で物事の判断がつかなくなったときに備えて、元気なうちに終末期の治療方針を書き残しておくことに、69.7%の人が賛成と答えている。

続きを読む


girlyme.tumblr.com

girlyme.tumblr.com

生と死が混じり合う人生の河口~日野原重明

 医学が進歩し、がんの化学療法や放射線療法などにより、全身に転移しても、数カ月かそれ以上、生きられる事例が増えてきました。

 こうした中で有意義なのは、ホスピスやPCU(緩和ケア病棟)に短期間(1~2週間)入るという新しい発想「レスパイト(respite)」入院です。
 英語で「現場を離れた一時的な精神の休養」という意味で、つまり患者は一時的な休息のために入院・入所し、そこで気持ちを整理して、いつでも死を迎えられる心の備えをするのです。

 英語にリトリート(retreat)という言葉もあります。日々の雑事から一時的に離れ、自然の中で心を洗い、生きる意義を感じることです。

 36歳の女性が、私の設立したホスピス、ピースハウス病院にレスパイト入院をしてきたことがあります。乳がんの手術を受けた後、肝臓などに転移し、自分の命はそう長くはないと知ってのことでした。
 残される7歳と9歳の2人の男の子がそれぞれ20歳になるまで、毎年自分の誕生日に「ママからのメッセージ」を渡せるように、それを書く準備のため、10日間入院したのです。彼女は2カ月後、自宅で亡くなりました。前日には、美容院で髪をセットしてもらったそうです。

続きを読む


「尊厳死法案」をテーマにした公開討論会(東京弁護士会主催)

「尊厳死法案」をテーマにした公開討論会(東京弁護士会主催)

尊厳死法案、「終末期」の定義めぐり激論

 超党派の国会議員連盟が検討している「尊厳死法案」をテーマにした公開討論会(東京弁護士会主催)が3日、東京都内で開かれた。

 同法案では、「行い得る全ての適切な医療上の措置を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間」を終末期と定めており、「医療上の措置」については、栄養補給など生命維持のための行為も対象としている。

 終末期の定義について日本尊厳死協会の長尾副理事長は、「医学的に定義することは困難だが、末期はある。家族と医師との信頼関係が前提となっている」と指摘。医学会のガイドラインは周知されないとして、あくまで法制化が望ましいとの考えを示した。

 また、医療法人社団悠翔会の佐々木理事長は、「末期がいつかは、医師と患者さん、ご家族が話し合って決める問題だと思う」とした上で、「法律を作ったとしても、患者さんとご家族と医師の三者のインフォームド・コンセントがきちんとできなければ、尊厳死は絶対に実現しない」と述べ、法制化に反対の立場を示した。

続きを読む