photo credit: AlicePopkorn via photopin cc

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「宗教は信じないが魂は信じる」人は約4割

 以前『お墓に関する意識調査』(研究代表・鈴木岩弓東北大学大学院教授)における現代人の「霊魂観」に関する調査結果を紹介した。

 そこで若い世代ほど「人には霊魂がある」と思っていることを明らかにした。

 現代人の霊魂観に関して、今回はもう一つの調査結果を紹介したい。堀江宗正東京大学大学院人文社会系研究科准教授らが行ったアンケート調査(『自殺と死生観と社会的信頼の関連について』)で、現代人の宗教観と霊魂観について調べている。

 調査では、「私は宗教を信じている」と「死後も魂は残る」ということについて、そう思うか否かを4段階で答えてもらっている。結果をみると(図1)、「私は宗教を信じている」については17%の人が肯定的(「とてもそう思う」「ややそう思う」)に答えていて、「死後も魂は残る」については49.2%の人が肯定的に答えている。

図1 宗教、死後の魂を信じるか

 
 つまり、「宗教を信じている」人は2割に満たないのに対し、「死後の魂を信じている」人は5割近くいることになる。

 また図2は宗教を信じるか否かと死後の魂を信じるか否かを掛け合わせて4つの類型を作り、性別・年代別にそれぞれの比率を示したものである。それを見ると分かるように、「宗教を信じないし、死後の魂が残るとは思わない」人は42.8%、「宗教を信じないが、死後の魂は残ると思う」人は40.3%で、それぞれ拮抗しつつ双方合わせて8割以上を占める。

 「宗教を信じないが、死後の魂は残ると思う」人は男性に比べて女性が多く、とくに40代以下の女性は過半数を占める。男性も若い世代ほど多い傾向がある。

図2. 宗教および死後の魂を信じるか(4類型・性年代別)  

「思考なき魂」は奪われる

 この調査結果を見ると、たしかに宗教を信じない人が多いが、にもかかわらず――と言うべきか――死後の魂を信じる人はとりわけ若い世代に多い。ということは、端的に言えば、既存の宗教が現代人の「魂」を捉えていない、ということを意味する。

 このことが例えば自己啓発セミナーの隆盛やスピリチュアル・ブームが生み出される背景にある。あるいは、「魂」を掲げた商売やうたい文句がそれなりウケる要因にもなる。(ここでわたしが言うのもなんだが。)

 わたしは、以上の調査結果は、「魂」の非宗教的かつ非科学的な実在性を現代の人びとが「直感」していることの証左だと思う。

 科学的世界観が浸透している現代において、既存の宗教が語る「魂の物語」はファンタジーと同じと考えている(あるいは「宗教」というスタイルに疑念を抱いている)人は多い。しかしその一方で、科学的に証明されていないにもかかわらず、「魂」は現代人の日常生活にリアルなものとしてに“在る”。 だったら、それはどのように“在る”のか?

 この問いにうまく応える――つまり思考を促す――知的仕掛けが現代ではまだ不足しているとわたしは思う。矢作直樹氏の『人は死なない』がベストセラーになった背景にはそうしたニーズがあるとも考えられる。また、最近の認知科学、脳科学、ロボット科学はそうした知的仕掛けの一つにはなっているが、わたし自身はそれらは最終的にはたぶん的を外すだろうと今のところ考えている。

 いずれにしても、思考を欠いた信念だけでは魂を捉えるどころか魂を奪われることになってしまう、ということは常々自戒しているところである。

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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