「ラブ」の媒体としての電子書籍

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女性向け官能小説が人気 レーベル増加し電子書籍とも好相性

 女性向け官能小説が人気を集めている。従来の男性市場への女性の参入は今や珍しいことではないが、官能の世界でもそれが起きているのだ。出版社が新しいレーベルを立ち上げ、電子書籍配信を始めるなど官能小説自体の多様化も進んでおり、官能は必ずしも秘するものではなく、ひらかれたコンテンツになりつつあるようだ。

 
 コトダマの里のAzuです。最近猛暑が続いていますが、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。

 さて、わたしは仕事柄電子書籍をよく読むのですが、小説とマンガ(電子コミック)が主です。ところで最近思うのですが、電子書籍ストアを見ると女性向けの「ラブ」小説・マンガが目立って増えているような気がします。

 「ラブ」というのはもちろん「恋愛」のことですが、ただ、その、つまり……「エロ」(官能系)も含めてです。

電子書籍と女性は相性がいい

 もともと電子書籍と女性向け「エロ」はとても相性がいい。エロ本を購入したり所持したりするのは男女を問わず多かれ少なかれ人目をはばかることだと思いますが、とくに女性は敷居が高い。彼氏や夫がエロ本を持っているのを発見しても「しょうがないな」ぐらいの反応だと思いますが(内容にもよりますが)、彼女や妻が持っているとおそらくドン引きされると思います。

 電子書籍だとスマホやタブレットに入れておけば分からない。しかもいくらでも入れられます

 そして、女性向けエロには男性向けエロと異なるいくつかの特徴があります。

 まず、男性の性的関心は女性と比べて「即物的」です。つまり、「物体としてのリアリティ」があればあるほどよい。したがって一般論的には小説よりはマンガが、マンガよりはビデオ(アニメ、実写)がいい。ちなみに3D(実写)より2D(アニメ)の方がいいという男性も多いかもしれませんが、その場合3D(実写)ではなかなか再現できない対象だからという理由もあると思います。

 女性の性的関心は男性ほど即物的ではない。むしろ自分の空想や妄想の余地があったほうが「陶酔」(脳内快楽物質を放出)できます。したがってビデオでなくても(あるいはビデオより)小説やマンガで十分楽します。

 ということで、電子書籍と女性は相性がいいのです。

 さらに、女性の性的関心は即物的ではない、ということは、言い換えれば、女性の性的関心は「関係的」、ということです。

 「関係的」というのは、女性が興奮するのは身体(の一部)そのものではなく、身体との関係(イチャイチャすること)であったり、あるいは身体的関係よりは心理的関係(胸キュンな態度や一途な純愛など)であったりするということです。

 そうなので、女性向けは「エロ」かどうかはとても曖昧でつかみ所がない。裸や性描写があれば「エロ」かというとそうではないし、少なくともそれだけで「オカズ」になったりはしない。それよりかは「ラブロマンス」の小説やマンガの方がよっぽど「陶酔」できる人は少なくありません。

 そう考えると、女性向け「エロ」は「ラブ」という表向きの装いのものとで想像以上に広まっている可能性があります。
 

「ラブ」の媒体としての電子書籍

 以前『コトダマ新聞』でも取り上げましたが、日本の電子書籍市場は現在のところほとんどがマンガ(電子コミック)で占められている状況です。

 ところでNTTコムリサーチの調査によると、電子コミックの利用状況は男性では年代別で利用率にあまり大きな差はないのに対し、女性では10代~20代の利用率が30代以上に比べて高くなっています。

電子コミックを読んでいますか

 
 また、「好きなマンガの作品ジャンル」を見ると、明らかに「女性向け」と見なせるのは「ラブストーリー」「少女マンガ」「BL(ボーイズラブ)」です。

好きなマンガの作品ジャンル

 
 なお、「成人向け」は女性だと2.4%にすぎません。しかし実際は「ラブストーリー」「BL(ボーイズラブ)」というジャンルは(上で述べたような意味で)「女性向けエロ」です。ただ前者は「異性愛(男×女)」が題材であることが多いのに対して、後者は「男性同性愛(男×男)」が題材です。

 ただわたしの考えでは、描いている題材が「異性愛」か「男性同性愛」かは「ラブ」にとって本質的な違いではなく「好みの問題」です。たとえて言うなら、「バスケットボール・マンガ」か「バレーボール・マンガ」かという違いです。これらは違うと言えば違うのですが、女性にとってはどちらも「ラブ」の題材になりえる(苦笑)。

 こうしてみると、電子書籍は女性にとって「ラブ」の媒体として大きな可能性がありそうです。これは大きなテーマですので、また改めて考察してみたいと思います。

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