米国の公立電子図書館Biblio Tech(出典:Last News 2014)

米国の公立電子図書館Biblio Tech
(出典:Last News 2014)

進まぬ「電子図書館」の“なぜ”……過疎の地方に導入も、読める本少なく

 日本で数少ない電子図書館を運営するのが、人口約2万8千人の和歌山県有田川町。「有田みかん」で知られる全国有数のミカンの産地だ。ミカン畑を抜けると視界が一気に開け、ガラス張りの近代的な建物が現れる。平成21年に完成した町の地域交流センター「ALEC」だ。

 図書館とカフェ、博物館がひとつになった複合施設で、エントランスにはクラシックカーが展示され、積み木であふれる遊具コーナーでは子供たちの笑い声が響く。自然に囲まれたテラスでは、飲食しながら読書も楽しめる。

 理想的な図書館のようだが、交通の便は決して良くはない。最寄り駅からの巡回バスや市営バスは1時間にわずか数本。来館者の多くはマイカーなどを使うほかなく、町民の多くは高齢者だ。

 それを逆手に取ったのが電子図書館だった。「頻繁に足を運べない人が自宅からでも蔵書が読めるように」と町は23年11月、ALECに電子図書館を開設した。関西では堺市立図書館に続き2番目の開設だった。

 ……(中略)……

 便利な電子図書館だが、普及はまだまだだ。日本図書館協会によると、日本で電子書籍の貸し出しサービスを実施しているのは、国内3234の公共図書館のうちわずか20館ほど。

 普及への大きな壁となっているのが「読める本の少なさ」だ。著作権の関係で、なかなか本の電子化が進まないという。図書館の電子化担当者や出版社などで構成する電子書籍図書館推進協議会の担当者は「ビジネス面では、紙媒体が売れなくなるという出版業界の懸念が大きい。特に新書などの扱いに慎重。出版業界も状況が厳しいですからね」と話す。

 同町の電子図書館に携わる町教委文化情報班の青石賢治副班長も「著作権の兼ね合いでコンテンツがなかなか充実しない」と頭を抱える。同町の電子図書館で使用できるのは約4800冊分。そのため利用者もなかなか伸びず、1カ月に数十冊程度しか貸し出しがないという。

 マンガやライトノベルなど若者をターゲットにした書籍は電子化も進んでいるが、図書館の利用者はどちらかというと高齢層が多く、需要にあった書籍の電子化が急務ともいえる。同時に、パソコンやネットが苦手な高齢者の利用促進をどう図っていくかという点も課題だ。

米国では公立図書館の7割が電子書籍を貸し出す

 前回、大学生が本を読まなくなったという話題を取り上げましたが、そのときわたし自身は図書館からよく本を借りて読むという話をしました。

 先日も平日の昼に調べものをするために区立図書館に行ったのですが、改めて見ると高齢者の方が多いです。おそらく退職して自由になった時間を図書館で本を読むことに費やしている高齢者の方が多いのではないでしょうか。もちろん主婦や学生もそれなりにいますし、昼休み時にはソファーでいびきをかいているビジネスマンもときどき見かけますが、割合としては高齢者が多いです。

 図書館は様々なタイプのイスや机があり、静かで空調も効いていて快適に本を読むことができます。カフェやレストランが併設されていることも多いので、一日中そこで過ごすことができます。リタイア後の自由時間の使い方としては、たんなる暇つぶしではなく知的刺激や認知症の予防にもなり、上質な部類に入るのではないでしょうか。

 ただ、都会では図書館はたくさんあり近くの図書館に気軽に行けますが、地方ではそうもいきません。図書館の絶対数が少ない上に、一つ一つの図書館がカバーする地域も広い。交通の便も悪い。おまけに高齢で足腰が弱くなって移動もままならない。そんな状況で1時間に1、2本しかないバスで遠く離れた図書館に通うのはつらいものがあります。

 そこで、「電子図書館」(e-Library)です! 図書館で電子書籍をオンラインで貸し出す、すなわち自分のパソコン、タブレット、スマホで電子書籍を借りて読むことができれば、わざわざ遠くの図書館に出かける必要はありません。自宅で図書館のサイトにアクセスして読みたい本を検索し、そこからワンタッチですぐに読めます。Amazon Kindleストアや楽天Koboストアなどでおなじみのスタイルですね。

 電子書籍先進国の米国では、公共図書館による電子書籍の貸し出しはすでに一般的なサービスになっています。アメリカ図書館協会によると公立図書館の76%が電子書籍の貸し出しサービスを行っており(2012年時点)、電子書籍の蔵書数も着々と増えています。紙書籍に比べるとまだ貸し出し数は少ないようですが、それも徐々に増えているそうです。

米国公立図書館における非印刷資料点数(人口1000人当たり)(出典:Public Libraries in the United States Survey: Fiscal Year 2010)

米国公立図書館における非印刷資料点数(人口1000人当たり)
(出典:Public Libraries in the United States Survey: Fiscal Year 2010)

 また、米国には紙の本が1冊もない電子書籍などデジタルコンテンツだけの公立図書館もあります。

 

 さて日本ではどうでしょうか? ……えっ、うそ? たった1%!? 国内3234の公共図書館のうちわずか20館ほど。日本の割合低すぎ!

うわ、日本の割合低すぎ

 

電子書籍の代わりにゲームアプリ?

 さて、上の記事で紹介されているのは、そんな数少ない公立図書館の一つである和歌山県有田川町の有田川Library

 和歌山県有田川町と言えば有名な「有田みかん」。 有田川Libraryのイメージキャラクターももちろん有田みかんをモチーフにした「ありりん」ちゃんです。

有田川Libraryイメージキャラクター「ありりんちゃん」

有田川Libraryイメージキャラクター「ありりんちゃん」

 Twitterアカウントもあるようですね。

 
 ゲームアプリ?…… 早速おじいちゃんの(Rooted) Kindle fire HDを借りてGoogle Playを探してみたら、ありました。「こっちむいて!ありりん」

こっちむいて!ありりん

こっちむいて!ありりん

 3月3日リリースで19日までで5件ダウンロード。わたしが6人目のプレイヤーということですね。早速プレイしてみました。

20140319-1-6 20140319-1-7

 
 ゆるい……ゆるすぎる……

 10分ぐらい無心で「こっちむいて!ありりん」をしていたら、もうすべてのことがどうでもよくなって、自分のいろいろな悩みがすべてちっぽけなことのように思えてきました。

 ちなみにアプリ開発者のRiriさんは、ご当地ゆるキャラアプリを一人で黙々と作成している主婦の方のようです。「こっちむいて!ありりん」はその中の「こっちむいて!」シリーズの一つのようですね。

 ということで、有田川Libraryはいろいろな意味で電子化に積極的な公立図書館のようです。

 さて、有田川Libraryの電子書籍貸し出しサービスをちょっとのぞいてみました。もちろん電子書籍を借りるためには図書館に利用登録する必要があります。Windowsパソコン上で専用の電子書籍ビューワを使って閲覧する方式で、貸出期間を過ぎると自動的に返却される仕組みです。

有田川Web-Library

有田川Web-Library

 仕組みそのものは単純なのですが、ビューワのインストールや操作などは高齢者にはやや敷居が高いかなと思いました。それと少し気になったのは、電子書籍のラインナップ

 先の記事でもふれられていたように著作権の壁でなかなかコンテンツがそろえられないという状況のなか、桑原晃弥『スティーブ・ジョブズ全発言』(PHP出版)とか竹田恒泰『日本人はなぜ日本のことを知らないのか』(PHP出版)とか需要のありそうなものを少しでもそろえようという努力はうかがえます。ですが、なぜにこのようなラインナップ??

 ちなみにこの有田川Libraryの電子書籍貸し出しシステムは、東京都で電子書籍貸し出しサービスをいち早く実施した千代田Web図書館とそっくりなので、おそらく同じシステム開発業者が請け負ったものでしょう。

千代田Web図書館

千代田Web図書館

 ただし、電子書籍のラインナップは全然違います。(どちらもそもそも絶対数が少ないのですが。)

 紙の本はモノなのでそれぞれの図書館が個別に用意する必要がありますが、電子書籍のようなデジタル・コンテンツをそもそも個別に用意する必要があるのでしょうか。著作権料やライセンス料をどこが負担するかという政治的な問題はあるかもしれませんが、全国どこにいても誰でも平等に読みたい本が読めるという環境を実現するのが公共図書館の使命と役割ではないでしょうか。

 技術的にはすぐにでも実現できそうなだけに、遅々として進まない状況に一体どんな背後があるのか気になります。

 

中央図書館と地方図書館の役割分担を考えてもらいたい

 それはともかく、日本における電子図書館の整備に関しては総本山の国立国会図書館の役割はとても大きいと思います。言うまでもなく、国会図書館には建前上日本で出版されたすべての本が所蔵されています。また、一部の図書を除けば館内で自由に閲覧できます。

 わたしもときどき調べもののために国会図書館に行きますが、比較的気楽に行けるのも都内に住んでいるからで、地方に住んでいればそうはいきません。このことだけですでに図書利用に関して大きな地域格差があります。

 電子書籍という技術や電子図書館という仕組みはこうした格差を一挙に解消する可能性があるはずのものなのに、デジタル技術が苦手な高齢者が使いづらいシステムになったら逆にますます格差を拡大してしまうことになりかねません。

 国会も消費税を上げる前にやることあるでしょう! 考えれば考えるほど激おこぷんぷん丸!(←どさくさ)

 例えば、電子書籍そのものは中央図書館が管理して、各地方図書館はユーザー管理とユーザーサポートに徹するのはどうでしょうか。そのうえで、電子書籍リーダー、タブレット端末のような「モノ」は各図書館が個別に貸し出しして、端末操作に不慣れな高齢者には丁寧にサポートするべきだと思います。

 いずれにしても、ゆるキャラ作ってタマシイ入らず、にならないようにしてもらいたいですね!

 

スポンサーリンク

 

LINEで送る
Pocket

The following two tabs change content below.

Azu

コトダマの里の広報・お客様窓口担当です。お客様からのお問い合わせはわたしが承りますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)