『神宮希林 わたしの神様』(2014年4月公開)(出典:CINRA.NET (C)東海テレビ放送)

『神宮希林 わたしの神様』(2014年4月公開)
(出典:CINRA.NET (C)東海テレビ放送)

樹木希林、がんの一部消滅?「医学の進歩はすごい」

 全身がんを患っていると告白していた女優の樹木希林(71)が25日、東京・渋谷の映画美学校で行われた映画「神宮希林 わたしの神様」(4月26日公開)の完成披露舞台あいさつに出席し、がんの一部が「消滅した」と明かした。

 人生で初めて三重・伊勢神宮を参拝した樹木に密着した東海テレビ製作のドキュメンタリー。日々の生活を「自分の身を始末していく感覚で送っている」という樹木に対し、全身がんの症状について質問が飛ぶと「医学の進歩はすごい。体に大きく影響しているものは消滅しているみたい。体に影響しない小さいものはあるかもしれないですが…」と説明。症状が改善していることをうかがわせた。

樹木希林さんの“復活宣言”

 先日、女優の樹木希林さんが自分の伊勢参りの旅を収めたドキュメンタリー映画「神宮希林 わたしの神様」(監督伏原健之、4月26日公開)の完成舞台あいさつに登場し、そのときの様子がマスコミで報道されていました。

 ご存じの方も多いと思いますが、樹木さんは昨年11月に「全身がん」であることを公表し、放射線治療を行う一方で「いつ何があってもおかしくない」と死への覚悟についても話していました。

 それから2ヶ月あまりたちましたが、治療が奏功したようです。「大きく体に影響を与えるものは消滅したみたい」ということで、「『死ぬ死ぬ詐欺』みたい」と軽口が叩けるほど元気な様子でした。

 そして会見では「医学の進歩はすごい」と感心した上で、治療前から今でも「生活の質はひとつも変わらない」と強調していました。

 以前、「婚活宣言」をした女優の吉行和子さんを取り上げましたが、元気なシニアの女性を見るとこちらも元気がもらえそうで――プラス「なにうだうだしてるのよ!」と怠けがちなわたしを叱ってくれそうで――嬉しくなります。

 自分もあと40年ぐらいしてシニアの仲間入りしたらあんなふうに颯爽としていたいなという目標にもなります。

 ただ冗舌で明るい樹木さんの様子を見ていて、やはり女優として“演じている”という側面もあるのかな、と思いました。

 

女優としての自分を「俯瞰」する

 樹木さんは10年ほど前、ベストセラー『がんばらない』で有名な医師の鎌田實さんとがんをテーマにシンポジウムで対談しています。樹木さんは2005年に乳がんで右乳房全摘出手術を受けています。その体験を踏まえて、がんと闘病に対する心構えや、自らの死生観などについて話をしています。

 シンポジウムでの対談の記録が朝日新聞のサイト上で公開されていますが、以前それを読んだときにとくに印象深かったところがありました。

鎌田 最後に、希林さんが書かれているもので「俯瞰」。きっとこの人は生き抜くだろうなと思った幾つかのヒントの最後になるんですけど、「俯瞰」という言葉を書かれている。……(中略)……演劇を始めた時に、その仕事を始めた時に、俯瞰するというね。

樹木 そうです。

鎌田 上のほうから自分を見ている自分を発見して、それで、生き残れるっていうふうに思ったって書いてあるんですね。

樹木 役者って、陶酔しちゃダメなんですよ。それはものをつくる人間もそうなんだろうと思う。常に客の目というか、第3者の目で自分を見てないと。男を好きになるシーンがあると、本気でその人を好きになっちゃうんじゃなくて、好きになった芝居をすることをちゃんと見ている。

 或いは、喧嘩するシーンを自分で見ていないと、ただワーワー陶酔しているだけで、お客が見てられないということになる。私は、たまたまた美人女優じゃなかったためにほかにテクニックがなかったわけですね。

鎌田 これが多分、がんや病気と闘う上で大切なのかもしれません。俯瞰して客観的に上のほうから、病気と闘っている自分をもう1回見たり、あるいは、例えば胃がんがある人は、胃の中を想像しながらがん細胞と闘っているイメージをつくっていくことで、もしかしたら何か不思議な力が出るんじゃないか。希林さんは芸能界というか芝居の世界で、その俯瞰の技術を使って生き抜いたとすれば、病気との闘いもこの俯瞰の技術って役に立つんじゃないかなって僕は思ったね。

 
 大女優なので当たり前と言えば当たり前ですが、樹木さんはものすごく演技にこだわることで知られています。20代の頃から老け役をやっていたからだと思いますが、どうしたら自然に老けて見えるかを徹底して研究したそうです。

 また優しそうな雰囲気にもかかわらず演技にはとても厳しく、共演の若手女優を泣かすこともあったようです。

 樹木さんのこうした“女優魂”を思うと、おそらくがんとの闘病生活はすでに樹木さんの女優としての演技の中に組み入れられているのではないでしょうか。

 つまりそれが「観客」(世間)にどんなふうに見られるか、どんな影響を与えるかを十分に考えていると思います。

 そう思うと、「生活の質はひとつも変わらない」ときっぱりとした口調で言ったのは、とても意義深いメッセージだと思います。

 

がんと“共存”しながら働き続ける人は30万人超

 先日、厚生労働省の推計で、がんの治療を受けながら働く人は男性約14万人、女性約18万人の計32万5000人に上ることが発表されました。

 がん治療は日進月歩で、かつては手術や抗がん剤治療で仕事を辞めざるをえなかったようなケースでも、仕事を続けながら通院して治療を受けることが可能になってきています。つまりがんになったからと言って仕事や社会生活からリタイアする必要はなく、健康な人と同じようにそれを続けることができるようになっています。

 その一方で、カゼが治るようにはスッキリとは治らず、長期にわたって治療や観察を続けなければいけない人も多いでしょう。ある意味でがんと“共存”しながら仕事や社会生活を続けている人は少なくないと思います。

 なかにはやがて来る死を覚悟しながら、死の準備をしながら、最後の最後まで通常通りに仕事や社会生活を続ける人もいるでしょう。そのような人にとって、死を覚悟し死の準備をすることは、新たな仕事に取り組んだり、新しい生活を始めたりすることと少しも矛盾しないはずです。

 これまでは「生」と「死」をまったく相容れないもの、「生=明るくて前向き」「死=暗くて後ろ向き」のような単純な図式で捉え過ぎだったのではないでしょうか。むしろ「明るくて前向き」な「生と死」がある一方で「暗くて後ろ向き」な「生と死」があるのだと思います。

 樹木さんのメッセージから、自分の生と死のドラマを最後まで演じきろうという女優魂をわたしは感じ取りました。

 

“強い魂”どうしはきずなも強い?

 ところでまったく余談ですが、樹木さんは夫の内田裕也さんと正月にハワイの夕日の見える有名なレストランで一緒に食事をしたそうです。二人の関係を樹木さんは「“相手にとって不足ない”という関係」、内田さんは「不思議な関係」と表現しています。

 わたしは個人的には内田さんをいまひとつ評価しきれないのですが、たしかに“ロックンローラー魂”を感じられる人だとは思います。

 実際一見イケメンで優しい人でも“魂”の感じられない人もいれば、ハチャメチャでぶっきらぼうな人でも“魂”が感じられる人もいますしね。どっちがパートナーにいいかは微妙ですが

 “魂”の強い人はお互いに引き合う力も強いのかもしれません。そして“魂”のきずな(絆)も強いのかもしれません。二人を見ているとそういう気がします。

『神宮希林 わたしの神様』(2014年4月公開)<br />(出典:CINRA.NET (C)東海テレビ放送)

『神宮希林 わたしの神様』(2014年4月公開)(出典:CINRA.NET (C)東海テレビ放送)

 

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