「文化通信」の星野編集長(出所:ダイヤモンド・オンライン)

「文化通信」の星野編集長
(出所:ダイヤモンド・オンライン)

出版業界見つめて24年! 今の電子書籍ブームは過去とは異質と見る 書籍は横ばいだが雑誌は減少止まらず

 電子書籍元年――。毎年のように、メディアはそう表現している。
 確かに、AppleのiPadの発売や、アマゾンのKindle開始など大きなニュースが毎年のようにある。長く出版業界を見つめてきた“玄人”はその状況をどう見ているのだろうか。
 業界紙や専門誌を訪ねるこの連載。4回目は、出版業界・新聞業界を扱う業界誌「文化通信」の星野編集長に話を聞いた。
 …(中略)…

 業界の多くの関係者は「紙がここまで減少するとは思っていなかった。2000年代に入ってもいつかは、底を打って、復活するだろうと言っている関係者も多かった」という。
 しかし、さすがに10年代に入ってからは、下記のような危機意識がほとんどの業界関係者の共通認識としてあるという。
 「雑誌は下げ止まらない。書籍は、増えはしないが減り続けもしない。というのが業界の認識」
 雑誌と一言にいっても、ファッションから自動車やその他の趣味、オピニオン、経済など、さまざまなジャンルがある。しかし、「今、元気があるジャンルは一つもない」と、なんとも寂しい状況だ。

 こんにちは、Takeです。暑い日々が続いていますが、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。

 今回取り上げる記事は、”出版業界を見つめて24年”出版業界・新聞業界の業界誌「文化通信」の星野編集長のお話です。
 記事によりますと、出版業界全体の市場規模は90年代末までは拡大を続け、一時は約2兆6600億円まで膨れ上がりましたが、そこから一転縮小傾向となり、2011年には1兆8000億円ほどにまで減りました。星野編集長によれば、業界の多くの関係者は「紙がここまで減少するとは思っていなかった。2000年代に入ってもいつかは、底を打って、復活するだろうと言っている関係者も多かった」ということです。

 さらに、「雑誌は下げ止まらない。書籍は、増えはしないが減り続けもしない。」というのが現在の出版業界の共通認識である、と述べています。
 ただここでいう「雑誌」とか「書籍」とかは狭い意味でのそれ、つまり既存の出版社が発行する大部分は紙の「雑誌」や「書籍」のことを意味していると思いますが、この業界の「共通認識」の真意を汲み取るためには、「雑誌」とか「書籍」とかという概念の物理レベル(物理的媒体としての紙、パソコン、スマホ、タブレットなど)と機能レベル(情報伝達の機能としてニュースを伝える、ニュースを解説する(掘り下げる)、知識や思考を伝える、個人的な事柄や「つぶやき」を伝える、など)のいずれを問題にしているか、ということを区別して考える必要があると思います。

 物理レベルを問題にするのであれば、物理的媒体として「紙」を使う理由はほとんどなくなっている、とわたしは考えます。
 とくに、スマホやタブレットなどのデジタル端末の操作性がさらに向上すると(「ボイス」や「エアタッチ」で操作できるようになるなど)、もはや「紙」を使わなければならない理由は見当たりません。
 唯一「紙」を使う必要があるのは、「紙」そのものに価値がある場合だけでしょう。例えばコトダマの里の提供する「和装本」はまさに「和紙」を使っていることそのものに価値があるわけです。ですが、それは基本的に美的価値、芸術的価値であって、情報伝達の機能的価値とは異なるわけです。

 ただし、かつて(紙媒体の)「雑誌」が果たしてきた機能は現在ではネット上の無数のウェッブサイトが果たしているわけで、これはむしろ「雑誌」の機能を果たす媒体がネットによって「自由化」されたとみるべきでしょう。
 あるいは「雑誌」の発信元がかつてのようなオーソライズされた出版社だけでなく一般の個人・組織・団体に広がってきたと見るべきでしょう。

 そうすると従来型の発信元(出版社)は、他の発信元がマネのできない”強み”をもつ必要があります。
 例えばそういう意味で最近がんばっているのは、『週刊文春』ですね。小沢一郎元民主党代表、原辰徳読売巨人軍監督、AKB48の前田敦子さんや指原莉乃さんや峰岸みなみさんなどに関する衝撃スクープを連発して世間にその名を轟かしめたのは記憶に新しいところです。

 これは「スクープ」という雑誌に求められる重要な機能で他の発信元の追随を許さない”強み”をもつわけで、要は「○○に強い」というのがあれば紙であろうとネットであろうと「雑誌」としての機能は十分果たすことができるわけです。

 他方、「書籍」(本)の場合は、機能的にはたんに情報やニュースを伝える、というだけでなく、知識や思考を伝える、ということに重心が移ります。
 そのためには情報に意味のある「まとまり」、つまり「体系性」や「物語性」を付与する必要があります。そうした情報の意味のある「まとまり」を付与する形式として「書籍」(本)は適しているわけです。
 他方、ネットのウェッブサイトはえてして本筋とは関係のない「ノイズ」が氾濫しがちなので(例えばアフィリエイト広告とか)、そうした意味のある「まとまり」を付けるのがなかなか苦手なところがありました。しかしこれも近年急速に「電子書籍」の技術が発達・普及してクリアされつつあるのは周知のところです。
 したがってけっきょく、今後は「書籍」に関しても「雑誌」と同様にその発信元は一般の個人・組織・団体に広まっていくと思われます。

 したがって、「雑誌」であれ「書籍」であれ、たしかにその物理的媒体としての「紙」の役割、あるいはその「紙」の市場規模は今後も縮小していくのはやむをえないと思われますが、他方でその機能に関してはインターネットやデジタル端末という媒体によって無数の多様な主体に担われるようになり、その仮想的・潜在的市場規模はむしろ急速に拡大していく、と予想されます。
 そう考えると、既存の「紙」市場で稼いできた方々は先行き悲観的かもしれませんが、そうでない方々にとってはむしろ先行き明るいといえるかもしれません。

 

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Take

コトダマの里のIT事業部長兼SE兼お茶係です。主に電子書籍やタブレットなど最新のICT(情報通信技術)の動向について斜め30度ぐらいから考察します。

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