photo credit: batintherain via photopin cc

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人生の「終活」トラブルも 葬儀相談、9年で3倍

 「人生の最後を自分らしく」と葬儀や墓などを準備しておく「終活」が話題を呼ぶ中で、契約をめぐる相談も目立ってきた。一人暮らしの高齢者や老夫婦が「周りに迷惑を掛けたくない」と生前に契約してトラブルになる例もある。

 国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどが平成24年度に受けた葬儀に関する相談は700件と過去10年間で最多となり、15年度の3倍超だった。「親の葬儀で予想以上の金額を請求された」など本人以外の死に関するケースが中心だが、中には「自分の葬儀を事前契約したが解約したい。返金されるのか」といった終活の相談もある。

 65歳以上からの葬儀解約をめぐる相談は15年度の10件から、24年度は72件に増えた。墓に関する相談は24年度が1664件で、15年度の1.4倍に。国民生活センターは「墓や葬儀の出費は高額。できれば事前に複数の業者に見積もりしてもらって」と助言する。

終活ブームで様々なサービスが次々に登場

 「終活」ブームと言われて久しいが、当然そのブームに乗っかってさまざまな業者がさまざまな「終活」サービスを提供し始めている。(世間から見れば、このコトダマの里もそうした“ブームに乗っかった”サービスの一つかもしれないが。)

 とくに葬儀や墓は、「自分らしい葬儀にしたい」「遺族に迷惑をかけたくない」などの理由で「終活」の主要なテーマにする人は多い。ゆえに葬儀や墓に関する多種多様なサービスが次から次へと登場している。しかしそうしたこうしたブームの中であまり深く考えずに「終活」に取り掛かってしまうと、思わず足をすくわれる可能性もある。

 例えば、自分の葬儀の方法を自分で決めておき葬儀業者と事前(生前)に契約を済ませてしまう、という人はこれからますます増えていくだろう。しかしここで問題は、当たり前の話だが、自分の葬儀を自分で見ることはできない、ということである。

 事前に自分が想定した通りに行われたのかどうかは自分は知るよしもなく、「業者のみぞ知る」ところである。詳細な契約書があるならばともかく、内容が曖昧だったり抽象的だったりすると想定外の仕方で葬儀が執り行われてしまう可能性もある。しかし、「死人に口なし」、死んでしまった後では自分ではどうにもならない。

 つまり、自分の葬儀の方法を自分で決めたとしても、その葬儀を実際に行う肝心の遺族が、自分がいったいどのような考え、気持ちでそうした方法で行おうとしたのか、ということを十分に理解していないと、その葬儀がはたして「良い葬儀」「妥当な価格」だったのか評価できる人がいないことになってしまう。

 さらに、葬儀の方法を自分が決めておいても、遺族がその指示に従うとは限らない。葬儀を行う主体はあくまで遺族なので、遺族が心情的に承服できないなどの理由で指示されたものとは別の方法で行うことは十分ありうる。

 最近の例で言えば、今年四月に急性呼吸不全で亡くなった俳優の三国練太郎さん(享年90歳)さんは、同じく俳優で息子の佐藤浩市さんに自分の葬儀について「遺骨は散骨してくれ」と頼んでいたそうである。しかしながら佐藤さんはその遺言に反して、都内に新しく墓を作ってそこに納骨することにしたと報じられている。

 三国さんと佐藤さんはドラマさながらの親子間の確執劇で有名であるが、ここではそれは置いておくとしても、こういうことはどの親子でもありうることである。

 結局、「自分らしい葬儀にしたい」「遺族に迷惑をかけたくない」という理由で「終活」に取り組み、それを無事成し遂げるつもりならば、その土台にある自分の考えや気持ちを遺族にはっきりと伝え残し、それを十分に理解してもらう必要がある。もちろんそのためには、そうした自分の考えや気持ちをまず自分自身で整理しておかなければならない。逆にそうしたことを抜きにして唐突に「散骨してくれ」と遺書に書かれていてもそれには納得できない遺族も出てくるだろう(三国さんのケースがそうだというわけではないが)。

 いずれにしても、葬儀や墓などについて「カタチ」だけ事前に決めても本当の意味で「終活」にならない。「終活」でもっとも大切なことは、やはり残される人に「ココロ」を伝えておくだろう、とわたしは考えている。

 

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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