改装の主な手順(出所:日経電子版)

改装の主な手順(出所:日経電子版)

墓を引っ越し身近で守る 「改葬」の費用と手続き

 お盆に帰省して墓参りをする人は多いだろう。実家が遠いと墓参りの機会はどうしても少なくなりがち。将来、誰が墓を守るかも心配だ。最近は自宅近くに墓を引っ越す「改葬」を考える人が増えている。…(中略)…

 改葬は基本的に墓の使用者が自由にできる。ただ、新しい墓を確保して、元の墓から遺骨を移せば済むわけではない。一度埋葬した遺骨を勝手に動かすのは法律違反。そのため役所や墓の管理者に許可を得る手続きが必要になる。
 個人の墓は通常、墓の管理者に永代使用料を払い、特定の区画の使用権を取得する。取得した区画に自分で購入した墓石を置き、遺骨を納める仕組みだ。原則として墓の管理者は自治体か宗教法人。地方では寺などが管理する墓地に信徒が墓を持つ「寺院墓地」が多い。
 改葬の手続きは新しい墓と元の墓それぞれで必要だ。主な手順は(1)新しい墓の管理者から遺骨の「受け入れ許可証」などを取得する(2)元の墓がある市区町村に改葬許可申請書と新しい墓の受け入れ許可証を提出する(3)改葬を認める「改葬許可証」を新しい墓に提出する――の3つだ。…(中略)…

 改葬にかかる費用でトラブルになりやすいのが元の寺院墓地の管理者に払うお金。「離壇料(りだんりょう)」などと呼ばれる。「最近は100万円を超える高額の請求をする寺が目立つ」とNPO法人永代供養推進協会の小原崇裕代表理事は眉をひそめる。
 墓地を移る際に、元の墓の管理者に「今までお世話になった感謝の気持ち」として、金銭を渡す慣習はある。だが、寺院などが支払いを求める「法的な根拠はない」(小原氏)。改葬の許可には墓地管理者の署名が必要なため、求められると払ってしまうケースがあるという。
 墓コンサルタントの吉川氏はスムーズに手続きを進めるコツとして「早い段階で寺に改葬の相談をしておくこと」を挙げる。管理者は信徒が減るのを快く思わないため、事前の相談なく改葬の許可を求めに行くと話がこじれやすい。事情をよく説明し「包むのはあくまで気持ち。法要1回分くらいで良いのでは」と話している。

 

 先日の記事で、高齢化で墓参が難しくなった遺族が地方から都市部に墓を移す「改葬」が増加していることを取り上げた。

 そのさい、墓がその宗教的・儀礼的な意味を弱めることで、逆に象徴的・物理的・機能的な意味で「身近な」ものになってきているのではないか、ということを指摘した。
 「改葬」の増加という現象も、基本的には墓参りの利便性の問題ではあるが、こうした墓(あるいは弔い)の「身近化」の趨勢の一つの表れと捉えることができるだろう。

 しかしこうした変化は、それによって不利益を被る「既得権益」の抵抗にしばしばあう。そうした既得権益の中心に「お寺」、すなわち墓地を管理している寺院や宗教組織があることはたしかであろう。
 お寺もお坊さんも商売であるからには客が減るのは困るし、そこで多少のトラブルが生じるのはやむを得ない、とういかありがちなことではあると思う。とはいえ、高額な「離壇料(りだんりょう)」を請求するのはやり過ぎだと思うし、これから改葬が増加するとたんなるいざこざですまない大きな問題が生じかねない。
 そういうことをするくらいなら、それを逆に新たなビジネスチャンスと捉え、「ネット墓参り」や「墓参りツアー」のような新たなサービスを提供して商売にするほうがましだろう。

 しかしそういう実利的サービスでもよいが、本誌で再三指摘している「死の個人化」という現代人の価値観や意識の趨勢を踏まえて、もっと”タマシイ(ココロ)に響く”サービスを提供してもらいたいと思う。
 もともと仏教は、その時代や地域の文化にあわせて柔軟に(ときには本来の釈迦の教えとは関係のないものも取り入れて)その教義や慣習を変えてきた。すでにココロが離れている人から金をふんだくるのではなく、現代人の価値観や意識にあった墓や墓参りのスタイルを積極的に提案してもらいたいところである。

 

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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