“Kindleの持ち方” (出所:WIRED.jp)

“Kindleの持ち方” BY Tatsuo Yamashita
(出所:WIRED.jp)

さようなら、「電子書籍」

 電子書籍という話題に少しでも興味がある方なら、もしかしたら今年の6月3日に公開された、「コンテンツ緊急電子化事業(通称:緊デジ)」によって電子化された書目のPDFファイルをご覧になったかもしれない。あれを見た方は、自分の目を疑ったのではないだろうか。わたしも思わず叫んでしまった。「なんだこれは!」と。

 

 今回は、いつものRyuさんではなく、コトダマの里のIT事業部長兼SE兼お茶係(笑)のTakeが担当いたします。ちなみに、コトダマの里の別荘Kotodama Cottageの管理人でもあります。Kotodama Cottageでは主に電子書籍や電子書籍端末の最新の動向などを話題にして取り上げています。そちらのほうもよろしくお願いします。

 さて今回取り上げるのは、『マガジン航』の編集人である仲俣暁生さんのWIRED.jpでの記事です。

 仲俣さんは「平成23年度地域経済産業活性化対策費補助金(被災地域販路開拓支援事業)」(通称「緊デジ」事業)の審査委員を務めておられたみたいですが、この「緊デジ」事業は今年3月末をもって終了し、6月に「最終報告書」を出したようです。  ところが、審査委員を務めた仲俣氏をもって「なんだこれは!」と絶句するようなものだったらしいです。その内容というのは……

電子書籍で震災復興?

緊デジ.jp

緊デジ.jp

 488ページにわたるPDFには、この事業で制作された64,833点におよぶ電子書籍の書目が並んでいる。しかし著者や出版社のクレジットは一切なく、巻数の区別もないまま同一タイトルが並ぶ箇所もあり、一部は半角カナが入り混じるなど表記が不統一のままなのだ。一言で言って杜撰。これはいったい誰に向けて「公表」されたデータなのか?

 

 一体誰に向けているのでしょうね(笑) おそらく(見るわけはないが)経済産業大臣の茂木さんか、あるいはそもそも誰にも向けられていない(見られたくない)のではないかと思います。

 そもそもこの「緊デジ」事業は、2011年度の第3次補正予算で10億円が計上された総額20億円に上る補助金事業で、以下のような目的をもつものらしいです。

 被災地域において、中小出版社の東北関連書籍をはじめとする書籍等の電子化作業の一部を実施し、またその費用の一部負担をすることで、黎明期にある電子書籍市場等を活性化するとともに、東北関連情報の発信、被災地域における知へのアクセスの向上、被災地域における新規事業の創出や雇用を促進し、被災地域の持続的な復興・振興ならびに我が国全体の経済回復を図ることを目的とする。

 

 電子書籍で震災復興? これは凡人には分かりかねる深謀遠慮なのかもしれませんが、審査委員を努められる仲俣氏が「どう考えても復興云々は予算獲得の方便にすぎず、国策による電子書籍市場の活性化が主目的」と断言するくらいですから、たぶんそんなに深謀遠慮はなかったのだと思います。

 いずれにしても20億円かけて「国策による電子書籍市場の活性化」ができるならばそれはそれでよいことなのかもしれませんが、その活性化の先鋒となるべき事業の成果がこれ?

事業参加出版社数:463社
電子化された書籍の総数:64,833点(ファイル数としては80,893点)

<内訳>
コミックス:29,861点
コミックス以外:34,972点
(うちリフロー型:16,374点)
(うちフィックス型 :18,598点)

<フォーマット別内訳>
.book:15,206点
XMDF:5,695点
EPUB:43,932点

東北関連書籍:2,287点
東北三県の図書館への献本書籍:3,810タイトル、10,745冊

 

 「コミックス29,361点」て(笑)。そんなの自炊業者にまかせてくださいよ。というか、とっくに自炊してますって。

 実際のところ、具体的にどんな作業をしたんでしょうか。経費の明細とかは公表されているのかな? 見てみたいものですね。まさか会議費とか、良い温泉がたくさんある東北への出張旅費が一番多いとか、そんなことはないですよね。

≫「コトダマ図書館」という”奇妙な図書館”

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コトダマの里のIT事業部長兼SE兼お茶係です。主に電子書籍やタブレットなど最新のICT(情報通信技術)の動向について斜め30度ぐらいから考察します。

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