小平霊園の樹林墓地(東京都東村山市)(出所:朝日新聞デジタル

小平霊園の樹林墓地(東京都東村山市)
(出所:朝日新聞デジタル

都市部で墓地不足 高齢化で多死社会・地方から改葬…

 都市部の公営墓地で、狭い場所でも大勢を埋葬できる「合葬墓」や「墓地ビル」が人気を集めている。土地不足で新たな造成が難しいことや、急激な高齢化で「多死社会」を迎えたことが背景にある。墓参しやすいよう遺族が遠隔地から移す「改葬」の動きも活発で、都市部の墓地需要はさらに高まりそうだ。

 「埋葬場所を探し続け、1年前にやっと見つかりました」。東京都八王子市の女性(43)は7月、両親が眠る都営小平霊園(東京都東村山市)の「樹林墓地」でそっと手を合わせた。
 18年前に父、まもなく母を亡くした。両親とも地方出身。実家との縁は薄れていたため、女性は都内で墓地を探した。だが、公営は空きが見つからず、数百万円が相場の民間霊園には手が出ない。その間、遺骨は自宅で保管してきた。昨夏、都が初めて募集した樹林墓地を知った。500人分に16倍超の応募が殺到するなかで運良く当選。費用は約30万円で済んだ。

 樹林墓地は約830平方メートルの敷地に計1万700人が埋葬できる。墓標のコブシなどが植えられた地下に、遺骨を布製の袋に入れて保管する合葬の空間がある。都は昨年の人気を受け、今夏は募集数を1600人分に増やした。
 都が樹林墓地を導入した背景には深刻な墓地不足がある。都によると、都内には青山(港区)や谷中(台東区)など7カ所の都営墓地があるが、ほぼいっぱい。都の担当者は「墓地をつくれるまとまった土地が少ないうえ、財政難も重なり、新設は難しい」と説明する。

 厚生労働省によると、全国の埋葬数は11年度が約130万件で、10年前より25%増えた。特に都市圏の伸びが著しく、首都圏1都3県では10年前より34%増えて30万件を超えた。
 全日本墓園協会によると、都市部では、高度経済成長期に地方から移り住んだ人が寿命を迎えつつある「多死社会」に突入し、墓地の需要が高まっている。
 民間の霊園開発は活発だが、土地不足のため数千個の骨つぼを安置する納骨堂や数百区画の小規模な霊園が目立ち、1区画の規模も縮小している。少子化で遺族の負担が増し、墓地にかける費用が下がっていることや、お墓観の変化も影響しているという。

 近年、都市部の墓地不足がマスコミなどでもたびたび大きな社会問題として取り上げられるようになってきている。
 紹介記事によると、高齢化で墓参が難しくなった遺族が地方から都市部に墓を移す「改葬」が増加していることも、都市部の墓地不足に拍車をかけているとのことである。他方で、「改葬」によって墓が転出してしまう地方では、墓参が難しい人向けに、墓をネット上にアップして「参拝」してもらう「ネット墓参」のサービスを始めるところも出てきている。

 先日の記事(「葬儀の簡素化」の背後にある「脱儒教的」「仏教回帰的」死生観)でも指摘したように、今日の葬儀や墓は「先祖崇拝」のような宗教的要素は弱まり、生前の頃の家族的な情緒的つながりを象徴する役割が強まっている。
 そうすると、今日の墓は確固不動で宗教的威厳を示すようなものではななく、ある意味ではもっと「身近な」ものになってきていると言える。
 ここで「身近な」というのは象徴的意味だけでなく、物理的あるいは機能的な意味でもそうであり、墓の「改装」の増加という現象は、そうした象徴的・物理的・機能的意味での墓の「身近化」の趨勢の一つの表れだと思われる。
 さらにまたこの趨勢は、より広く捉えるならば、家族葬自然葬の増加や手元供養の増加といった趨勢と軌を一にした同じ意識的傾向の表れと思われる。

 であるならば、もっと根本的に、「弔う」ということが何を意味しているのか、ということを深く考えてみるbできだと思う。
 繰り返し述べると、今日の墓参りの多くは、もしカタチだけでなくココロからするのであれば、「先祖崇拝」とか「先祖供養」とかではなく、故人との情緒的な「きずな」や「つながり」を改めて確認する意識からのものであるはずである。

 ただし言うまでもなく、故人との「きずな」や「つながり」は、墓参りするからできるのではなく、逆にそうした「きずな」や「つながり」があるから墓参りするわけである。
 そうすると、そうした「きずな」や「つながり」はどうやって続いていくのか。それは、故人のタマシイ(ココロの思い)が生者のタマシイ(ココロの思い)として「生き続ける」からに他ならない
 であるならば、現代的な弔いにおいて一番重要なのは、「墓」ではなくて、タマシイ(ココロの思い)を故人から生者へと継承していく方法のはずである

 わたしはその一つの有力な方法としてこの「コトダマの里」を提唱しているわけである。もちろん他にもいろいろありうるとは思うが、いずれにしてもこれからもっと多くの人に弔いのあり方を今一度真剣に考えてもらいたいと思う。

 

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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