谷中霊園(出所:下町を歩こう 谷中<

谷中霊園(出所:下町を歩こう 谷中

芥川龍之介らが眠る霊園巡り “墓マイラー”が推奨ルート紹介

 都内には政治家、小説家、芸術家など偉人や著名人が眠る墓があちこちにある。それらを巡り、故人の足跡に思いをはせる「墓マイラー」(※墓に参る者の意)が増えている。墓マイラーのあきやまみみこ氏がお薦めのお参りコースを紹介する。

 ひとつめは都内四大霊園のうちの2つ、雑司ヶ谷霊園(豊島区)と染井霊園(同)を巡るコースだ。東京メトロ副都心線雑司が谷駅で下車。霊園管理所でマップ(ネットでも公開)をもらう。メインストリートに面した漱石の墓は大きな安楽椅子の形をした堂々たる佇まいで、漱石と鏡子夫人の戒名が刻まれている。美人画の竹久夢二の墓もすぐ近く。東に進むと、中浜(ジョン)万次郎と洋画家・東郷青児の墓が隣り合っている。

 染井霊園へは都電荒川線雑司ヶ谷停留所から三ノ輪行きに乗って新庚申塚停留所で下車。霊園手前の本妙寺には剣豪千葉周作や名奉行遠山金四郎の墓がある。近くの慈眼寺には生前激しい論争を繰りひろげた谷崎潤一郎と芥川龍之介が眠る。谷崎の墓が芥川に背を向けているのがおかしい。芥川の墓はほぼ正立方体で、愛用の座布団と同じサイズだとか。

 静謐でゆったりと時間が流れる霊園や墓地は都会のオアシスだ。マナーを守り、安らかな気持ちでお参り&お散歩をしたい。

 歴史上の人物や著名人の墓を巡り歩く「墓マイラー」は数年ほど前から静かなブームになっている。歴史が好きな「暦女(レキジョ)」ブームや健康づくりのためのウォーキング・ブームなどとも連動して、老若男女の幅広い層の人たちが「墓マイラー」になっているようだ。

 墓マイラーの中には、墓に眠る人物の熱烈なファンという人ももちろんいるだろう。ただ昨今の墓マイラーは、墓に眠る歴史上の人物や著名人に特段の関心があるというよりは、墓巡りそのものに魅力を感じている人も多いと思われる。

 霊園は一般に、都会の喧騒のただなかにあっても独特の静謐さを保っている。墓参りに来ている人はそれなりにいても話し声はほとんどせず、聞こえるのは鳥や虫の声ぐらいである。
 こうした静謐な雰囲気は、精神的な「ヒーリング効果」が大変高いと思う。ある程度の広さがあれば、散歩やウォーキングにもちょうどよい。近場に霊園があるのであれば、必ずしも著名人の墓がある有名な霊園でなくても、あるいはとくに「墓参り」の意識がなくとも、心身のリフレッシュが期待できる手軽な散歩コースとしてぜひお勧めしたい。

 個人的には、都内四大霊園の中では適度に”侘び寂び”を感じさせる谷中霊園がお勧めだ。
 谷中霊園は徳川慶喜の墓などが有名であるが、むしろ「かつては栄華を極めた人物の墓と思われるが、今は誰も訪れることなく雑草に埋もれた墓」が”歴史の本質”というか、”諸行無常”を感じさせて味わいがある。
 そういう墓にそっと手を合わせてみるのも、墓マイラーの一つの愉しみである。

 

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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