パナソニックの株主総会(出所:ゆかしメディア)

パナソニックの株主総会
(出所:ゆかしメディア)

少子化白書 晩婚・晩産化進む

 パナソニックの株主総会が26日、大阪城ホール(大阪市中央区)で開かれた。昨年の総会で、約7700億円もの最終赤字に激怒する株主にV字回復を誓ったのに、「わずか4カ月後に再び7500億円もの赤字だと業績を下方修正した。株主総会を愚弄している!」と厳しい声が飛んだ。一方、今総会の招集通知で、昨年7月に亡くなった、創業家の松下正治氏保有株半分が、長男である松下正幸副会長に移ったことがわかる。創業家の影響力維持のために個人名で株を保有していると、3代で資産をなくすといわれる日本の相続税の現実も垣間見えた。(中略)

 創業者、松下幸之助は2000億円を超えるパナソニックグループ株を遺したといわれている。(3代目の)正幸氏の保有株は、時価に換算すると約94億円。ほかにも資産はあるだろうが、株だけの単純計算では、3代にして資産はなんと、20分の1になったようだ。

 資本主義では、「相続」は、本来的には、「資本の継承」であってこそ価値がある。たんなる「お金の継承」では、いくら大金であろうと、あるいは相続税がどうあろうと、いずれそのうち無くなる。

 つまり、資本主義経済では、資本は何らかの事業に投入され、それが利潤を産み出し、さらにそれが資本として回収され、再び事業に投入され・・・という資本の循環のサイクルこそがその「価値」の源泉である。
 逆に言えば、この循環のサイクルから離脱したたんなる「お金」にはもはや「価値」を生み出す力はなく、やがて消え去るのみである。

 ただ、この循環のサイクルのなかで「価値」(利潤)を中長期的に産み出し続けるのは至難の業である。とりわけ、そうした「価値」の軸足がインターネットを始めとしたIT分野に移りつつある現代では、事業(企業)の栄枯盛衰はもはや「四半期単位」の話である。こうした市場環境では、急変する市場環境にいかに柔軟かつ瞬時に対応するかが大きな経営的課題となる。

 しかしながら、「資本」サイドからみると、ともかく手持ちの資本がその循環のサイクルで利潤を産み出し続けてくれればよいわけで、その手段、すなわち事業は何であってもかまわない。
 たとえば、ソニーのように「本業」のエレクトロニクス部門で赤字であっても「副業」の金融・不動産部門で黒字でそれを十分に補うことができれば、それはそれでかまわないのであって、要はある程度継続的に利潤を産み出してくれればそれでよいのである。

 しかしその一方で、それでは、ユニークで独創的なエレクトロニクス製品で人びとを魅了し続けてきたソニーの「魂」や「精神」はどこにいったのか、という問題や批判も出てくる。
 とくに問題は、利益を上げられればどんな事業でもかまわない、というスタンスでは現場で働いている従業員の「士気(モラル)」が維持できるか、ということである。
 同じことは、創業者の松下幸之助の「魂」や「精神」を継承しているはずのパナソニックにもいえる。もちろん、赤字続きではやがて資本もなくなり資本主義経済のなかでは存立不可能であるが、生々流転の激しい現代の市場経済のなかだからこそ意外にそうした「魂」や「精神」のもつ意味も大きいかもしれない。

 かつて、ドイツを代表する古典的な思想家であるマックス・ウェーバーは、名著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』において、初期資本主義の勃興の土台にはプロテスタンティズムがあったことを指摘した。簡単に言えば、資本主義はプロテスタンティズムの宗教上の理念から要請される勤勉と禁欲の副産物に過ぎなかったということである。
 そうしてみると、現在飛ぶ鳥を落とす勢いの欧米のIT企業の創業者のなかには、日本人から見ると、自らの事業に強烈な使命感をもっていてある独特の意味で”宗教がかった”タイプの人が少なくない。
 そこには機械的な資本の循環のサイクルを越えた「魂」や「精神」が感じられ、そこが資本主義(というか人間そのもの)の不思議なところでもある。

 

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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