『終活読本 ソナエ』

『終活読本 ソナエ』

壇蜜、「終活本」で死生観を披露 葬儀学校在籍の理由などを赤裸々に

 セクシータレントの壇蜜(32)が12日創刊の『終活読本 ソナエ』(産経新聞出版)で、葬儀学校に入学した理由や、自らの死生観を明らかにした。セクシーな言動で注目されながらも女性の支持も高い壇蜜。同誌ではこれまで露出の少なかったクレバーな一面を披露している。

 巻頭のグラビアに登場した壇蜜。名前(芸名)の由来を、「壇」は“仏壇”。「蜜」は“そなえもの”と説明。なぜ、「檀」ではなくて「壇」なのか。「密」ではなくて「蜜」なのかについて丁寧に説明している。

 葬儀の専門学校に通ったのは、「大学を出て、和菓子職人を目指していたときに、大切な人が急死したことがきっかけになった」という。あまりのショックに、死とは何かを突き詰めて考えてみたかったようだ。
 ・・・(中略)・・・

 和洋の喪服、浴衣姿で撮影と取材に応じた壇蜜。編集担当によると「喪服は着たことがあるんですが、最後までピシッと着たのは初めて。いつも崩れた着こなしですから…」と語っていたという。

 ”日本初の終活雑誌”と銘打った産経新聞出版の『ソナエ』。昨今の終活ブームからそのうち出るだろうとは思っていた。ただ、終活ブームに便乗したような本は無数にあるなかで、必ずしも「便乗」に留まるわけではない、けっこう読み応えのある内容になっている。

 たしかに、相続に関する基礎知識や最新の葬式事情など、およそ「終活」に関心のある人に役に立つ「生活情報誌」的側面が主ではあるが、そうしたお役立ち情報に留まらず、終活の根底にあるべき死生観についても有識者や著名人を通じて様々な角度から取り上げようとしている。その意味で、かなり読み応えのある内容になっている。

 表紙と巻頭インタビューに今をときめく壇蜜さんを登場させたのもセンスをうかがわせる。
 雑誌のタイトル『ソナエ』は、人生の終わりに向けての「備え」だけでなく、故人に対する「供え」の意味にも解せるが、壇蜜さんの芸名の”壇”は供物を供える場所、”蜜”は供物を意味する。
 壇蜜さんのインタビューでは、20代に恩師の急死をきっかけに死について深く考えるようになり、心の整理をつけるべく葬儀の専門学校に通うようになったこと、葬儀学校では遺体を保存・修復するための技術である「エンバーミング」を学んだことなどが語られている。

 壇蜜さんといえば「セクシー・タレント」として名を馳せているが、このことの象徴的な意味あいも興味深い。
 ここで想起するのが、精神分析学の創始者フロイトの「エロス(生への欲望)」「タナトス(死への欲望)」という二つの概念である。
 すなわちフロイトは、人間の欲望の根底にはこれら一見相反する二つの欲望があり、それらはコインの表裏のように、あるいは光と陰のように人間の欲望の双面をなすものとして捉えた。

 翻って見れば、現代の「終活」も「死」へ向かう活動であると同時に、「生」へ向かう活動でもある
 もう少し具体的に言うと、自らの「死」に真正面から向き合い、それに現実的にも心理的にも万全に「備える」ことによって、残された限られた「生」にも真正面から向き合い、それに万全に「備える」のである。
 このように、現在の終活は「死」と「生」という一見相反する事態にともに「備える」という意味あいをもっていて、そうした活動へと人を突き動かしている根底的な情念がフロイトのいう「エロス」と「タナトス」だとしたら、その象徴として壇蜜さんはまことにふさわしい。

 浴衣姿が絶妙に艶かしい壇蜜さんの表紙だけを見て思わず買ってしまった人も少なくないと思われるが、「終活」への誘い方としてはまさに絶妙だと思われる。

 

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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