少子化白書 晩婚・晩産化進む(出所:NHK)

少子化白書 晩婚・晩産化進む
(出所:NHK)

少子化白書 晩婚・晩産化進む

 政府は、25日の閣議で、1人目の子どもを出産したときの女性の平均年齢が、おととし初めて30歳を超えるなど、「晩婚化」と共に、出産の年齢が高くなる「晩産化」が進んでいると指摘したことしの「少子化社会対策白書」を決定しました。

 閣議決定された「少子化社会対策白書」によりますと、日本人の初婚の平均年齢は、おととし平成23年は、▽男性が30.7歳、▽女性が29.0歳で、昭和55年と比較して、▽男性で2.9歳、▽女性で3.8歳、高年齢化が進んでいます。
 また、おととし、1人目の子どもを出産したときの女性の平均年齢は、前の年よりも0.2歳上昇して30.1歳となり、初めて30歳を超え、「晩婚化」と共に出産の年齢が高くなる「晩産化」が進んでいます。
 一方で、生涯未婚という人の割合は、平成22年には、▽男性が20.14%、▽女性が10.61%で、いずれも過去最高に達し、「未婚化」とともに一生結婚するつもりはないとする「非婚化」も進んでいると指摘しています。

 これについて、内閣府は「若い世代は雇用が不安定で、所得が低い傾向にあり、こうした経済的理由から結婚に踏み切れない人が増えているのではないか」と分析しています。

 以前も何度か少子化について取り上げたが、そのさい少子化の直接的な原因は晩婚化にあるが、さらにその背景として子育ての機会費用の増加ということがあると論じた。

 「子育ての機会費用」は相対的および期待値的なものなので、20代の若い世代で非正規雇用が増え雇用が不安定化したり、所得が低下したりすると相対的に子育ての機会費用は増加する。
 あるいはもう少し社会文化的な要因として、とくに20代の女性のライフ・チャンスもしくはキャリ・アチャンスが拡大(つまり「人生の可能性が拡大」)することによっても相対的に子育ての機会費用(つまりその時期に子どもをつくることによって失われるチャンス)が増加する。
 前者のような経済的要因はそのときどきのマクロな経済環境(好不況)の影響も大きいので景気が回復すれば短期的には多少は改善されるかもしれないが、後者のような社会文化的要因は構造的な要因なので小手先の「少子化対策」でどうにかなるとは思えない。

 ただし、晩婚化が少子化の要因になっているのは、女性の年齢が上がるほど妊娠や出産が困難になるという生理学的・医学的要因が土台にある。しかしこれに関しては、近年急速に進化している生殖医療が技術的にその障害を取り除く可能性はある。
 実際のところ、いろいろな意味でまだ生活が不安的な20代ではなかなか子どもをつくる気になれなくても、生活が多少なりとも安定してくる30代、40代になってから子どもつくりたいと思う女性は多いだろう。
 少し前に政府の少子化対策の作業部会が検討して議論と話題を巻き起こした「女性手帳」は、要は女性に対して「年齢が上がるほど生理学的・医学的に妊娠・出産が難しくなるので若くて元気なうちにさっさと産みなさい」と諭す趣旨のものだが、その前提が揺らぐ可能性はあるわけである。

 いずれにしても、生殖医療はまだまだ倫理的に問題の多い領域であるが、少子化との関連で今後ますます重要性を帯びてくる領域でもあると思われる。

 

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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