自らの葬儀の規模に関する意識調査(出所:東京都生活文化局『2001年葬儀にかかわる費用等意識調査報告書』)

自らの葬儀の規模に関する意識調査
(出所:東京都生活文化局『2001年葬儀にかかわる費用等意識調査報告書』)

こんなはずでは…!トラブルのない家族葬のためのポイントとは?

 最近では“終活”という言葉も登場して、生前のうちに自分の葬式や墓を準備しておきたいという人も少なくありません。親族だけでお別れができればいいということで、式礼の品や用意のいらない“家族葬”を選ぶ人が増えてきました。
 しかし、一方で家族葬を行なってトラブルに見舞われる事例も増加しています。

 その理由としてはやはり費用面の問題があげられます。
 「無駄な儀式にお金を使わず、つつましく送ってほしい」という気持ちで家族葬を希望したものの、実際に身内だけで葬儀を行なったら却って費用が高額になり、遺族に負担がかかるケースが少なくないのです。
 その理由のひとつが香典でしょう。香典によって葬式の費用がまかなえるのですが、親族だけで香典をあてにできないとなると、シンプルな葬儀でもそれなりの費用が遺族の方にのしかかってくることに。

 そしてありがちなこととして、「どんな葬式をしていいのか分からずにいた結果、高額な葬儀費用を出さざるをえなくなった」というパターンも。
 送りだす本人が生きているうちに、「どんな葬式を希望するのか?」または「葬儀に必要なものは何か?」を確認しなかったために、成り行きで葬儀社の提案に乗って行なった結果、高額になってしまったしまったというケースです。
 生前からどういう式を執り行うかを決めておかないと、親族達は急な出来事で、判断能力もかけてしまいます。そして自分の死で親族トラブルが発生してしまうこともあります。

 近年の、「葬儀の簡素化」の風潮のなかで、身内だけで弔う家族葬も急速に増えている。おそらく今後の主流の葬儀形態になるであろう。

 家族葬を行う大きな理由の一つは、葬儀に関わる費用の節約がある。
 ただしその背景には、とくに都市部では実態として血縁関係や近隣関係が弱まる、意識としてもそうした社会関係を重視しないということがあり、結果として葬儀の「社会的儀礼」としての価値と役割が減少している、ということがある。
 したがって実際のところ、故人が現役で働いていた場合はともかく、引退した後ではそうした社会関係も希薄化し、参列者も身内以外はほとんどいない、という状況が一般的になってきている。

 しかし問題は、そのように葬儀の社会儀礼的側面が弱まると、それと同時に「社会互助的側面」も弱まる、ということである。
 例えば紹介記事にあるように、かつては葬儀は参列者の香典やボランティアで費用的にも手間的にもまかなわれたが、これは故人が亡くなって茫然としているであろう家族を助けるという「互助的」な意味あいも大きかった。
 しかし身内だけの家族葬になると、葬儀に関わる諸々の事柄を家族だけで執り行わなければならない。そうするとおそらく、とくに何の準備もなく故人が亡くなって茫然としている状況では葬儀業者に丸投げすることになり、そしてその費用は当然家族だけでまかなわなければならなくなる。
 そうすると場合によっては、家族葬で見かけ上は簡素でありながら、費用は必ずしも簡素ではなかった、ということも起こりうるのである。

 けっきょく、参列者も少ないだろうから家族葬でいい、という漠然とした理由だけから家族葬をして単純に費用も安くつくだろうと思っていると、必ずしもそうならない可能性があることには十分留意をしておく必要がある。
 例えば「終活」の一環で、家族にできるだけ負担をかけないようにという配慮から自らの葬儀を「家族葬で」と指示しておいたとしても、そうした漠然とした指示だけだとかえって家族に負担をかけてしまうことになるという思わぬ事態にもなる。
 もし真剣に家族のことに配慮して「終活」を考えるなら、残された家族の立場に立って、その家族の目線からどういう指示をしておくべきかを十分に考えておく必要があるだろう。

 

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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