教育費用いくらかかる?(出所:日経電子版)

教育費用いくらかかる?
(出所:日経電子版)

習い事から海外留学まで 教育資金贈与こう使え

 孫の将来にわたる教育資金として、まとまったお金を非課税で一括贈与できる制度が4月1日に始まった。信託銀行を筆頭に金融機関は専用の商品を作り、贈与資金の取り込みに力を入れている。祖父母にとっては非課税贈与で相続税を節約するだけでなく、教育資金という有意義な形でお金を孫に残せるメリットがある。
 東京都在住の福山章さん(仮名、80)は孫5人にそれぞれ1000万円の教育資金を一括贈与することを決めた。オーナー経営者として成功した福山さんの資産は預貯金だけで約2億円。15年から課税が強化される相続税の節税は大きな関心事だ。「子孫には財産よりも教育を残したい」と考え、預貯金から5000万円を充てた。
 この制度は孫などお金のもらい手1人当たり最大1500万円まで非課税で贈与できる。このため孫の教育資金を援助しつつ、課税される相続財産を減らしたい人が強い関心を寄せているという。
 ただ、完全に非課税となるのは孫が贈与されたお金を学校や習い事などの費用として30歳までに使い切った場合だ。使い残しがあれば30歳になった時点で課税されるので、孫の年齢や進学志望に応じて必要な教育費用をざっと把握しておきたい。

 4月1日から2015年までの時限措置として教育資金の一括贈与の非課税制度が開始された。従来の税制でも、学費などその都度必要な教育資金を渡しても贈与税の課税対象にはならない。ただ、祖父母が死んだ後では渡せないので、この制度は実質的には相続税の節税対策に使われることが多いと予想される。

 つまり、この制度の実質的な狙いは、教育資金の援助を名目にして高齢者世帯から子育て世帯への資産移転を促すことであり、子育て世帯は高齢者世帯に比べて消費が活発なので、政府としては消費拡大による景気浮揚という短期的な政策効果を期待しているのだろう。

 しかしその一方で、この制度は「少子化対策」として捉えることもできる。少子化の直接的な原因は「晩婚化」もしくは「晩産化」であるが、その背景には家計における教育費負担の増加があると考えられる。

 すなわち、子どもを育てることに関して教育費は経済的にもっとも大きな負担であり、その負担に尻込みして子どもをつくることを躊躇している夫婦は少なくないだろう。
 とくに近年では、非正規雇用が増加しているので、主な稼ぎ手が非正規雇用の世帯では長期に渡る教育費の負担はハードルが高い。したがって、教育費の不安が多少なりとも改善されるならば、子どもをつくりたいと思う夫婦はけっこういるかもしれない。

 ただし、もし少子化対策にウェイトを置くのであれば、孫の教育費以外にももっと直接的に子・孫世代の結婚・妊娠・出産・子育てに関わる費用全般の援助を広範囲に対象にしたほうがよい。例えば、不妊治療や育児休業の援助などはかなり直接的な効果も期待できるではないだろうか。

 景気のテコ入れもたしかに重要だか、せっかく「教育費」という次世代育成の要となる要因を政策的テコに据えるわけだから、もっと将来を見据えた骨太な政策につなげてもらいたいものである。

 

LINEで送る
Pocket

The following two tabs change content below.
『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)