『17歳のエンディングノート』(出所:web R25)

『17歳のエンディングノート』
(出所:web R25)

エンディングノートに書きたいこと

 余命わずかな少女テッサが、死ぬまでにしたいTO DOリストを実行するうちに、人生の尊さに気づく映画『17歳のエンディングノート』。リストの内容は「有名人になる」や「セックス」など他愛のないものばかりだが、17歳の少女が抱く青春への憧れと無念の思いが伝わり、観る者の胸に迫る。

 とはいえエンディングノートなんて言われても20代にはピンとこないだろう…と思いきや、最近はそうでないようだ。編集部が25~34歳の男性200人に調査したところ、81人(40.5%)もの人が「今のうちにエンディングノートを書いておきたい」と回答。書き込む内容を上位3つ選んでもらったところ、「家族へのメッセージ」(58.0%)、「貯金、ローン、保険などの資産および相続方法に関する情報」(53.1%)、「死んだ時に一報入れてほしい相手の連絡先」(34.6%)と続いた。家族への感謝とともに、葬儀やお金のことで遺された家族が困らないように、という責任感がうかがえる。

 ちなみにエンディングノートに興味を持ったきっかけの上位2つは「震災を経験して」(34.6%)、「親族や知人の不幸に直面して」(28.4%)。身近な出来事をきっかけに、不測の事態に備える必要を感じる人が多いようだ。

 エンディングノートを書くことで、逆に生きることに前向きになれたという意見もある。“自分情報を整理する備忘録”として、向き合ってみるのもいいかもしれない。

 すでにあちこちで指摘されていることだが、2011年の震災以降、高齢者だけでなく若い世代の人にも「エンディング・ノート」に対する関心が高まってきている。
 人生いつ何時何が起こるか分からない。自分の身に何か不測の事態があったときに備えて、家族や身近な人が困らないようにエンディング・ノートを作っておこうという人が増えたのだろう。

 とはいえ、病気など現実的に差し迫った問題がとくにない若い世代の人の場合、「自分自身を見つめ直す」というような、いわば「ココロを整える」一つのきっかけにしておこうという人も多いと思われる。
 自分はどのような存在なのか、自分はどのように生きてきたのか、自分にはいま何があり、まだ何が足りないのか。
 自分自身を対象化して、その時点での「自分」を客観的に記録しておく。そのようにすることで、この先何があっても、かりに明日不測の事態が生じたとしても、少ともその時点までの「自分」は客観的に残るわけである。

 そうすると逆に、この先何があっても大丈夫、やれるだけやってみよう、という「チャレンジ精神」も沸いてくる。つまり、人生上の次の飛躍のためのステップボード、新たなチャレンジのための土台になるわけである。
 こうしてみると、エンディング・ノートは「エンディングのためのノート」とは限らない。形式的にエンディング・ノートでありながら、心理的には「”ネクスト(次)”のためのノート」として機能している人もじつは多いのではないだろうか。

 そしてこのことはじつは、若い世代に限った話ではない。シニア世代であっても、老若男女にかかわらず当てはまることである。
 エンディング・ノートをつけることによって、逆に「さあ、これからだ!」という勇気と気力に満ちてくる人は少なくないはずなのである。

 

LINEで送る
Pocket

The following two tabs change content below.
『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)