2035年 高齢世帯が40%超に
2035年 高齢世帯が40%超に

2035年 高齢世帯が40%超に(NHKニュース)

2035年 高齢世帯が40%超に

 22年後の2035年の日本の世帯は、高齢化がさらに進むことなどから世帯主が65歳以上の高齢世帯が40%を超えるという推計を厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がまとめました。
 それによりますと、2010年に5184万世帯だった世帯数は、2019年に5307万世帯でピークを迎えたあと、少子化や高齢化で減少に転じ、2035年には4956万世帯になると予測されています。
 世帯のパターンでは、現在31%を占めている世帯主が65歳以上の高齢世帯が、2035年には2021万世帯と41%に増え、このうち3分の1に当たる762万世帯が独り暮らしとなる見込みです。
 また典型的な家族のモデルとされてきた夫婦と子どもがいる世帯はこの30年減り続け、現在28%ですが、結婚しない人が増えるため2025年には25%、2035年には23%まで減少するということです。

 

 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、65歳以上の高齢者が1人で暮らす独居老人世帯は晩婚化や未婚の広がりを要因に2035年には762万世帯に増える。全世帯の15.3%に達し、2010年の1.5倍になる。
 また、従来の典型的な家族モデルである「夫婦と子」の世帯は1980年代は全世帯の4割以上を占めていたが、2035年には23.3%にまで減る。その一方で、単身世帯の割合は2010年の32.4%から37.2%まで高まる。
 要するに、今後は主流の世帯は「単独世帯」になり、なかでも高齢者の単独世帯が急速に増えていく、ということである。

 こうした人口・世帯の趨勢がもっとも影響を与えるのは、言うまでもなく高齢者介護のあり方である。現在の高齢者介護は、「自助」「互助」「共助」「公助」のバランスをうまくとることを理念としている。

 「自助」とは文字通り自分で何とかするということであり、これには家族による介護や民間企業からの介護サービスが含まれる。
 「互助」とはインフォーマルな相互扶助のことであり、近隣の助け合いやボランティアやNPOによるサポートなどが含まれる。
 「共助」とは社会全体での制度化された相互扶助のことであり、健康保険や介護保険がそれに当たる。
 「公助」とは公的扶助のことであり、上記の仕組みによってもカバーできないような状況(貧困等)に陥った場合に生活保護によって必要な生活の保障を行う。
 これらの四つの仕組みのなかで、自助がもっともベースであり、それを互助・共助・公助で順次サポートないしカバーするのが理想的と考えられている。

 ところが、今回の推計結果は、この土台がこれから急速に崩れていくことを示唆している。
 すなわち、今まで介護の中核に位置していた「家族」がこれから中核としてはあてにならなくなっていく。その代わりに「民間サービス」でまかなえるのは、ごく一部の富裕層の高齢者だけである。しかも、日本経済の趨勢からして今後ますます格差の拡大や貧困層の増加が予想される。こうなると、いくら「自助」が基本といっても、それを建前通りに押し通すとたんなる弱者切捨てになる可能性は高い。
 そもそも、介護サービスのような労働集約型産業を日本の少子高齢化の人口動態のなかで安定軌道に乗せるのは至難の業である。単純に言って、需要に供給が追いつかない。外国労働者の受け入れの可能性を考慮しても、すでに日本以上の経済大国になっている隣の中国で今後日本以上の需要が生じるので、日本に来る相対的メリットがどんどん小さくなっていく。唯一期待が持てるのは、介護・介助ロボットなど介護工学に画期的な発明や技術革新が生まれて、資本集約型の介護産業が普及する可能性である。ただし、これも今のところ絵に描いた餅に過ぎない。

 となると、今後の介護システムの土台としては、地域社会の住民がお互いに助け合う「互助」しかないであろう。
 とくに、現実的に考えれば、ボランティアやNPOの仕組みを活用した上での高齢者どうしの互助のネットワークをうまく確立していく必要があると思われる。例えば、同じ「一人暮らしの高齢者」であっても、じつは年齢幅は大きいし、健康や身体の状態も様々である。そうした人たちがうまくつながって“一人であっても一人でない”状態を保ちつつ暮らしていければ、ある程度家族の代わりになりうるものとして機能する可能性はある。

 ただし、こうした互助の仕組みは理念先行で導入すると実際には住民どうしの軋轢が生じて理念倒れになりやすい。そもそも、周囲に気兼ねするよりは一人暮らしのほうが気楽でよい、という人は多い。したがって、こうした互助のネットワークは、それに積極的に参加することが自分の老後を守ることになる、という「自助」意識から自発的に形作られていくのが望ましいと思われる。

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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