青色LEDが輝く納骨堂

青色LEDが輝く納骨堂

納骨堂、ハイテクの時代 スピード墓参に倉庫の技術

 遺骨の一時的な保管場所だった納骨堂で、「ハイテク化」が進んでいる。割安感にひかれて墓代わりにする人が都市部で増え、ニーズの多様化が進んでいるためだ。檀家(だんか)の減少に悩む寺院側も、これを好機と工夫を凝らす。
 東京都品川区の住宅街に4日、5階建てのビルが完成した。約7200の遺骨箱を収納できる、目黒安養院の巨大納骨堂「ひかり陵苑」だ。
 参拝者は受付でICカードをかざす。3階には、銀行の現金自動出入機(ATM)コーナーのように左右6基ずつ「参拝ブース」が並ぶ。指定されたブースの前に立つと、扉が自動で開く。部屋の墓石には故人の名前などが書かれ、裏側には故人の遺骨もある。受付からの所要時間は数分。
 スピード墓参りを可能にしたのは、トヨタ自動車グループの豊田自動織機の技術。墓石の裏側に控えるのは、高さ約10メートルもの遺骨箱の棚。クレーンが当該者の遺骨箱を棚から取り出してベルトコンベヤーで搬送し、墓石に組み込む仕掛けだ。
 2千基あるガラスの納骨壇が、青色LEDの光で輝くSF映画さながらの納骨堂「水晶殿」があるのは名古屋市・大須の万松寺。戦国武将・織田信長の父、信秀が開いた寺だ。
認証用のICカードをかざして入ると、参拝先の遺骨入りの引き出しが金色に輝く。価格はサイズによって異なるが、使用料は36万円~197万円。最も売れているのが、夫婦2人で入るタイプという。

 写真で見る限り、ハイテク、というよりは、まるで近未来を描いたSF映画のような雰囲気である。たしかに青色LEDは「水晶殿」の演出に効果的ではあるが、SF的雰囲気もいっそう強める。やや不謹慎な言い方をすれば、「オシャレでカッコイイ」感じもする。そうした意味では若い世代の人たちも参拝しやすいだろう。

 記事で触れているが、高齢化で死亡者数が増え続けている一方で、墓地はあまり増えていないようだ。とくに都市部での墓不足は深刻である。
 さらにまた、「墓守」の規範意識も薄れ、親世代でも子世代に墓の管理で負担をかけたくないという人も増えている。こうした情勢を背景に、今後都市部を中心にこうした”近未来型納骨堂”が続々登場する可能性がある。そのさいおそらく、参拝の演出にもいろいろと工夫が凝らされ、ユニークな演出を競う競争も生じるかもしれない。

 しかしそうなってくると、そもそも現代にふさわしい「墓」とは何か、という根本的な問題が浮かび上がってくる。すなわち、「墓」や「墓参り」は何のために存在するのか、なにゆえふだんはまったく無縁、無関心でありながら、家族や身内の死を契機にそれに関与する必要があるのか。墓不足の問題はこうした根本的問いを改めて考えてみるきっかけになると思われる。
 とはいえ、正月にしろ、クリスマスにしろ、現代の日本人は宗教に深くコミットしないがゆえに、逆にその時々の社会情勢や身近な人間関係にあわせてあまり深く考えずに適当に(表面的に)取り繕うことに慣れている。ハイテク納骨堂も”オシャレでカッコイイ”ということになれば、たんにそれだけで流行し、普及するかもしれない。

 しかしながら、気になるのは値段である。
 「東京都心の墓は土地と墓石だけで数百万円はざらだが、ハイテク納骨堂の使用料は85万円から。年1万3千円からの会費がかかるが、当初の費用は安い」ということだが、この「(相対的な)安値」がかえってその「費用対効果」の問題を顕在化させてしまうのではないだろうか。
 すなわち、「正月」や「クリスマス」にそんなにお金がかかるのか? 何で「墓参り」のためにそんなにお金をかける必要があるのか? こうした問いを「不謹慎」で片付けられた時代は、もうとうに過ぎ去ったと思われる。

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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