日本維新の会代表の橋下徹大阪市長

日本維新の会代表の橋下徹大阪市長

社会保障財源、相続税中心に=橋下氏

 日本維新の会代表の橋下徹大阪市長は31日、維新が掲げる「消費税の地方税化」が実現した場合の社会保障財源について、「相続税を中心に考えるべきだ」と述べた。市役所内で記者団の質問に答えた。
 橋下氏は「高齢化社会になれば、亡くなる方も増えてくる」と指摘。その場合、相続税収の増加が見込まれるとの認識を示す一方で、「消費税を10%に上げたとしても(その後の)税収は一定なので、(増加する社会保障費とは)どんどん差が開いていく」と述べ、消費税の増税分を社会保障費に充てることに反対した。

 橋本氏のロジックは単純明快である。
 すなわち、「社会保障費がなぜ毎年上がり続けるかと言えば、それは高齢者が毎年増え続けるから。社会保障費を何とかしようと思えば、保険料を上げるか、給付を下げるか、高齢者が増えることで伸びる税を充てるかしかない。税源を考えるなら、高齢者が増えることで税収が増える税。これは相続税だ。」
 「相続税を上げることは景気への影響は少ない。資産が海外に逃げるというキャピタルフライトの懸念を指摘されるが、少なくても不動産は海外へは逃げない。」
 「不動産はそもそも国の経済が伸びたことによって資産価値が増したもの。死亡時に高齢者世代の社会保障費財源としてその資産価値増加分を一定国に戻すと言うロジックは十分合理的だ。」

 たしかにいっけん理屈としては単純明快で合理的なように思えるが(個人的には賛同する部分もあるが)、もう少し根本的ないし長期的な視点からみると、年金問題と同様に個々人の国に対する信頼を損なう危険がある。
 そもそも、不動産、とくに土地は、所有者名義は個人であっても代々受け継いだものも少なくない。たしかに、かつての農村社会のようなイエ意識は希薄化したとはいえ、たんなる「資産」を超えた想いをもつ人は多いと思われる。
 さらに、資産形成のために不動産を購入したという場合でも、自分(の代)だけが得られる価値(効用)に基づいて購入している人は少ないだろう。すなわち多くの人は、自分が死んだ後も配偶者や子どもがそれを引き続き利用することによって得られる価値(効用)も考慮に入れた上で買っているだろう。
 もし相続税が非常に高くなり実質自分一代限りでの利用しかありえなくなれば、それ相応の価格でしか買おうとしないだろう。(あるいは住宅の場合はそもそも購入せずに賃貸にするだろう。)
 こうしたことを購入する前から明示しているならともかく、今になって相続税を一挙に上げるというのは、国債を売りつけておいて今になって「政府にはもうお金がないから利息は払えません」と言っているようなものだ。
 国を信用した自分がバカだった、と言えばそれまでだが、逆に言えば、安易に信用するな、ということにもなる。
 そういう意味で言えば、橋本氏が牽引する「日本維新の会」と理念的に矛盾するところもあると思われる。

 ただし、個人的には、以前も述べたように(「「カネ」は”遺らない”」)、経済的資産よりも「相続」されるべき重要な資産がある。その資産は、「自分そのもの」だ。あるいは、世界(宇宙)に二度とない自分の生きざまである。それが、子どもや孫にその人生を支える「心のの不動産」として遺すことのほうがよっぽど価値あることだと思う。

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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