コクヨS&T「遺言書キット」

コクヨS&T「遺言書キット」(出所:家電ウォッチ)

やじうまミニレビュー コクヨS&T「遺言書キット」~残された家族を守るための強力なツール

 「遺言書キット」は、ごく薄いパッケージで、「遺言状・虎の巻」という小冊子、遺言状用紙、遺言状下書き用紙、封筒、台紙などが入っている。
 まず、虎の巻を手にとって見る。50ページほどの小冊子で、オレンジ色を基調にした表紙だ。ドーンと暗い威圧感を持った色ではないので、リビングのテーブルに置いてあっても、びっくりしないですむ。
 ……(中略)……
 このキットで作成する遺言状は、「自筆証書」という種類の遺言になる。自筆証書が有効になるためには、いくつか条件があるが、虎の巻ではうまくまとめて解説している。
 この遺言状キットは、さすがに専用キットであるだけに、よくできている。特に、下書き用紙を用意する配慮や、コピー防止処理された用紙、開封されると戻せない封筒などは、文具に強いコクヨの特徴が生かされている。

 遺書や遺言というと高齢者だけの問題のように思われがちだが、最近は若い人にも関心が広がっているようだ。
 考えてみると、人はいつか死ぬがいつ死ぬかは分からない。もちろん、高齢になればなるほど死亡のリスクは高まるが、その一方でそれを考慮していろいろと備えておく心構えや時間もできてくる。若いときほど、何の準備もなく唐突に不慮の事故などで死亡してしまい、周囲も呆然としてしまう可能性も高い。とくに、東日本大震災以降は、人はいつ何時何が起こるかわからない、という思いを改めて抱いた人は多いのではないだろうか。
 さらにまた、近年は、夫婦の共働きも増え、夫婦といえども互いに知らないことを多々抱えていることも多い。ヘソクリなどは言うに及ばず、それぞれの人間関係や職場関係、さらにはインターネット上の諸々のサイトのアカウントであるとか、お互いよく知っているとは限らない。(もちろん、相手に知られたくない秘密のアカウントというのもあるだろう。)

 このように、現代では家族といえどもそれぞれ別個の興味関心やライフスタイルをもつ、いわゆる「家族の個人化」が進んでいるので、それぞれにしか知らないことも多い。それだと、普通に問題なく生活しているときはそれを気に留めることはないが、いざいなくなると後に残された人は何をどうしたらよいのか途方にくれることもでてくる。
 こうした背景もあり、現在では、年齢に関わらず、あるいは普通の意味での財産があるかどうかに関わらず、自分にもしものことがあった場合に残された人がどうすべきかを書き留めておくというニーズが増加してきていると思われる。とくに子どもができたときとか、家を買ったときとか、生命保険へ加入したときについでに遺書や遺言を書き留めておこうと思う人もいるだろう。
 とはいえ、法的に効力のある正式な遺言状となると何をどう書いたらよいのか分からない人が大概だろう。そうしたときに、遺言状としての作成手順や必要項目、その他の諸々の手続きが分かりやすく解説されていて、その通りにすると実際に実効性のある遺言状の現物ができてしまう「遺言状キット」というのは、こうした現代的にニーズにうまく応えていると思う。

 とはいえ、率直に言えば、正式な遺言状のような、やるべき「カタチ」がはっきりきまっているような事柄はパッケージ化、マニュアル化しやすい。
 それに対して、遺族に対する自分の”思い”や”願い”をどのようにして伝え、遺したらよいのか、については決まっている手続きや方法があるわけではない。もちろん、これについては、「エンディング・ノート」という形でこれはこれですでに話題になっており、書き方についてもいろいろなガイダンスやマニュアル的なものはある。
 しかしさい注意すべきなのは、これに関しては「カタチ」がどうあるべきかは二の次の問題である、ということである。すなわち、ある意味で当たり前だが、「カタチ」でなく「ナカミ」、すなわち伝え、遺すべき事柄が重要である。
 遺される人にとって、その人生にとって、その一生にわたって本当の意味での「財産」となる”コトバ”は何のか。なにを”コトバ”として遺すべきなのか。その”コトバ”を真剣に考えるほうが、「○○円の○○%を○○に与える」という文言の○○に何を入れるか思い悩むよりよほど有意義なことだと思われる。

 

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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