"介護施設のチェック"の前に考えるべきこと

“介護施設のチェック”の前に考えるべきこと

高齢者介護施設 どの施設がいいかチェックポイント7つ紹介

 全国で約530万人が介護認定を受け、認知症の人は推計約305万人にのぼる高齢社会ニッポン。「なんだかんだいっても、介護は娘、嫁、妻が負っている」(主婦・62才)、「介護のせいで派遣の仕事を辞めた」(主婦・43才)など不満が渦巻くなか、頼った施設がこの世の地獄だったという話も増えている。
 絶対に間違えたくない介護施設選び。見学に行ったときのチェックポイントは以下のとおり。
 【衛生面】
 ・においはひどくないか
 ・玄関などの造花にほこりがたまっていないか
 ・トイレに黒ずみはないか
 【サービス内容】
 ・経営理念に共感できるか
  地域説明会や勉強会で経営者と会う。
 ・現場の人は理念を共有してるか
  施設長などスタッフと話をしてみる。
 ・ケアプランに納得できるか
  「名前を伏せてケアプランを見せてください」と聞いてみる。ただし個人情報なので断られる場合もある。
 ・最期まで住めるか
  看取りの件数や様子を聞いてみる。

 介護施設の選択は、人生の終末をそこで迎える可能性があるだけに、人生最後の大きな選択の一つと言ってよいだろう。それゆえ、不誠実な業者に騙されて後悔することのないよう、入所する前に事前に十分に納得のいくまで下調べをした上で自分にとって最善の施設を選びたいところである。
 じっさい、ネットで多少調べてみると、介護施設の比較やチェックポイントを紹介しているサイトはすぐに多く見つかる。(とはいえ、介護施設業者の”さくらサイト”も少なくないので気をつけたい。)
 しかし介護施設の選択の前に、本当の意味で「後悔しない」ためには、もっと根本的なところを改めて十分に考えてみる必要がある。

 まず、身も蓋もない事実から言えば、政府や自治体の福祉政策やサービスがもはや期待できない状況では、一般的な意味で「良い介護施設」に入れるかどうかはカネ次第である。
 そして、カネがあれば、カネがあるだけ、できるだけ”快適な”生活(”快適な”生活が”幸福な”生活でもあるかどうかはまた別問題であるが)を最後までおくりたいと思うのは、これまた多くの人にとってごく自然な気持ちであろう。
 問題になりうるのは、「支払うカネに見合うサービスが受けられるかどうか」であり、ゆえに、トラブルが頻発しているのは「支払ったカネに見合うサービスが受けられていない」ことが多いからである。

 しかし、ここで見落とされていることがある。カネがあると、「快適な施設で快適に長生き」が”できてしまう”のである。たしかにこのことは、本人からすれば「快適」には違いないが、「快適な」死に方であることと「人間的な」死に方であることはまた別である。
 ここで「人間的な」死に方というのは、本サイトのキーワードで言えば〈タマシイ〉のある死に方であり、もう少し一般的な言い方で言えば、「心のつながりが遺る死に方」である。

「人間的な死に方」と「細菌的な死に方」

 つまり、「人間的である」ということは「心がある」ということであり、「人間的な」死に方というのは、それがどのような死に方であれ、心のつながりが保たれたままである、あるいは少なくとも(いつかどこかで誰かと)つながる可能性が保たれたままであるような死に方である、とわたしは考えている。
 逆にそのようなつながりが絶たれるならば、いくら「快適な」死に方であっても「人間的な」死に方とは言えない。それは本質的には、「細菌」や「昆虫」やその他の諸々の生物と同じ死に方である。
 この「細菌的な」死に方と「人間的な」死に方の本質的な差異に比べれば、例えば快適な施設でエンディングを迎えることとホームレスのまま野垂れ死ぬことの差異はさほどのことではない。さらにまた、快適な施設への入所は、快適である分だけ外との心のつながりを絶つ契機にもなりかねない。

 これから未曾有の超高齢社会を迎えるにあたって、本当に深刻な問題なのは、たんに多くの高齢者が「快適な」老後を送れなくなるということではなくて、多くの高齢者が「人間的」とは言い難い「細菌的な」死に方を迎える可能性が高い、ということである。人生の最後を「後悔しない」ためには、施設のサービスが快適かどうかをチェックするまえに、人間的な死を迎えるためにはどうしたらよいのか、を真剣に考えたい。

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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