家庭裁判所への相続関係相談件数

家庭裁判所への相続関係相談件数
(出所:株式会社マルクシード)

相続に「不安」、3人に1人 課税・親族争いを懸念

 遺産相続に対する不安が高まっている。「日経生活モニター」に登録した読者に調査したところ、自分や家族・親族の相続について「不安がある」との回答が35%に達した。遺産を継ぐ立場の約7割が相続財産に期待を寄せる一方、継がせる立場の8割超が遺言を用意していないなど、両者の意識に隔たりがある。
 相続に不安を感じる人に理由を聞いたところ「相続税の支払い」と「相続の配分を巡って争いが起きそうな気がする」がともに40%を超えた。2010年に相続税の課税対象になったのは全体の4%(国税庁、件数ベース)にとどまっており、課税強化が検討されている相続税と、「争族」といわれるトラブルの2つが不安の背景にある。
「継がせる立場」にあると回答した人のうち、遺言を書いているのは16%にとどまり、84%は遺言の用意がないと答えた。「遺言を書くつもりはない」と答えた人に理由を聞いたところ「相続でもめるはずがない」が44%と一番多く、「遺産があまりない」(26%)が続いた。「どの子供に面倒を見てもらうか考えられず、遺言を書けない」(東京、男性、74)との意見もあった。
 これまでに家族や親族の相続を経験した人は全体の56%で、そのうちの30%が「争いやトラブルがあった」と回答した。争いごとを経験した人の約7割が「遺言がなかった」と答えており、相続を巡るトラブル回避のため過去の経験を生かし切れていないようだ。

 超高齢化が進むなかで、「相続」をめぐるトラブルが増えているようだ。
 多くは、遺族の間での相続財産の分配をめぐるトラブルだろう。こうした情勢にあって、8割以上の人が遺言の用意がなく、その理由として「相続でもめるはずがない」と楽観視している人が4割以上もいるのはやや驚きだ。

 たしかに、遺産を継ぐ人が一人しかいないとか、そもそも遺産がほとんどないという場合は、もめようがないように見える。しかしそんな場合であっても、「継がせる人」と「継ぐ人」の間に認識のギャップがあるとトラブルになることもある。
 例えば、後になって見知らぬ人が相続の権利を主張したり、遺産が予想外に少なくて誰かに詐取されたのかもしれないと騒いだり、それこそ「継がせる人」が予想外のトラブルが生じることがしばしばある。

 つまり、「相続でもめるはずがない」という認識が「継がせる人」と「継ぐ人」の間の常日頃からの十分なコミュニケーションと意思疎通を前提にしたものであれば、たしかにもめることはないだろう。
 しかしそうではなく、それがたんに「継がせる人」の文化的規範や価値観を前提にしている場合は、たんなる主観的錯覚にすぎない危険がある。したがって、もし相続に関して家族間であまり話をしたことがないようであれば―話し難い話題なのでそういう家庭は多いと思うが―、ぜひ遺言書なりエンディング・ノートなりをつけておいた方がいいだろう。

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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