自殺者数の推移(内閣府『平成24年度自殺対策白書』)

自殺者数の推移(内閣府『平成24年度自殺対策白書』)

元アナウンサーの塚越孝氏に続き、イエローキャブの帯刀孝則社長が自殺? 自殺大国日本

 日本の年間自殺者数は10年以上、3万人超えを続けている。ただしその数字に疑問を呈する向きもある。その根拠となるのが、変死者数と行方不明者数だ。
 変死者数は、毎年の正確な統計はないものの、2008年で約16万人とされている。日本では司法解剖や行政解剖で死因究明する割合は低い。つまり、他殺や事故死を自殺としたり、自殺を事故死や原因不明としてしまったものも少なくないだろう。
 行方不明者数は2010年で約8万人。その内、約98%までは発見されるものの、残りの約2%は未発見だ。
 WHOの基準では、変死者の半分を自殺に組み入れている。それを単純に当てはめれば、日本の年間自殺者数は10万人以上になる。そう考えると、「年間自殺者数約3万人」という数字の影には、もっと深刻な数の自殺者が存在するのかもしれない。

孤立死(孤独死)は“半ば自殺”

 日本は以前から経済的に豊かな先進国の中では自殺率が高い“自殺大国”として知られているが(アジア諸国の中では隣の韓国は日本以上に高いが)、経済環境が悪化した90年代末に急増して年間自殺者数が3万人を突破し、その後その大台を維持したままである。

主要国の自殺死亡率(出典:内閣府『平成24年度自殺対策白書』)

主要国の自殺死亡率
(出典:内閣府『平成24年度自殺対策白書』)

 こうした現状を踏まえて政府はあの手この手の自殺防止対策を試みているが、今年始めには自殺対策強化月間に「あなたもGKB47宣言!」というキャッチフレーズを打ち出して世間の顰蹙を買ったのは周知の通りである。

 ところで、年間自殺者数3万人という数値も大きいが、変死者数16万人(2008年)、行方不明者数8万人(2010年)という数値も驚きだ。もっとも、変死者数の多くは「自宅で死んだ者」で、その多くは直接の原因が何らかの病気や体調の急変不良であろうと推測される。

 とはいえ、例えば近年大きな社会問題になってきている「孤立死(孤独死)」(※)は、かりに直接の原因が病気や体調の急変であったとしても、「孤立死」を「覚悟」しながら生活している状態で死を迎えたのであれば「半ば自殺」であると言ってもよいかもしれない。

  • 「孤立死(孤独死)」の正確な統計はないようだが、『平成24年版高齢社会白書』によると、東京都監察医務院が公表しているデータでは、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、平成22(2010)年に2,913人と増加傾向にある。
20120704-1-4

 
 こうしてみると、「自宅での人知れぬ死」である孤立死は必ずしも意図的、積極的に死を選んだのでないにせよ、かなりグレーゾーンにある「変死」であると言える。あるいは別の見方をすれば、実際には「半ば自殺」であるにもかかわらず、淡々と「孤立死」として扱われ、処理されるのは二重の意味で「孤立(孤独)」と言えるかもしれない。

 ちなみに「尊厳死」とは終末期において延命措置を中止することだか、これもある意味では「半ば自殺」である。尊厳死は現在日本では慎重論も多いが、オランダなど欧米では「自殺」にかなり近い「安楽死」まで踏み込みつつある。日本でも近い将来何らかの法的整備が必要となるだろう。

 いずれにしても、こうした「グレーゾーン」も含めると、日本の自殺者数は想像以上に多いかもしれない。そして、こうした「グレーゾーン」は今後の超高齢社会のなかで相当広がることが予想されるのである。

 

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『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

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