『コトダマ物語&コトダマ・レター選集』は、コトダマの里で作成した『コトダマ物語』および『コトダマ・レター』をテーマごとにピックアップし、編集本としてまとめたものです。
あわせて、『コトダマ物語』『コトダマ・レター』の趣旨とガイダンスも含まれています。
『コトダマ物語』『コトダマ・レター』の入門書であると同時に、その”タマシイ”を凝縮した精選集でもあります。
『選集』に納められた「タマシイの物語」「タマシイのメッセージ」が読者の「タマシイ」に響き、新たな「コトダマ」へとつながっていくきっかけになれば幸いです。
なお『選集1』は『コトダマ物語』『コトダマ・レター』のサンプル・バージョンの位置づけですので、とくにテーマは設けていません。
人生とは不思議なもので、たった一つの言葉によってがらりと変わることがあります。
わたしたちはふだん何気なく言葉を交わしていますが、そのほとんどは気にとめることもなく忘れ去られていきます。ただそのなかで、何かのきっかけで心を捉え、心に深く突き刺さり、その人の考え方や生き方すら変えてしまう言葉もあります。
それは一見したところ、ごくありきたりのたわいもない言葉かもしれません。それにもかかわらず、それはその人にとってはまるで神のお告げのように心に響くのです。おそらく言葉の中身だけでなく、言葉と出会うタイミングが重要なのかもしれません。その意味でそれは、やや大げさかもしれませんが、言葉との「運命的な出会い」なのだと思います。
わたしの人生も、ある言葉との「運命的な出会い」によって大きく変わりました。その言葉はわたしを死の淵ふちから救ってくれたのです。
わたしは、四十代で脱サラ・起業して会社を設立し、以後十年以上懸命に走り続けましたが、力及ばず会社は倒産してしまいました。この拙文は、わたしの倒産のときの経験についてまとめたものです。
お父さんは昨年一年間病気でずっと療養していましたが、お母さんと悟志のおかげで回復し、今年の春から新しい職場で、仕事に復帰します。体調もすっかり元通りになり、これから人生の再出発です。
それまで予想だにしなかった病気になり、人生何が起きるか分からない、ということを痛感しました。一昨年は、東日本大震災で大勢の人が一瞬にして命をなくされました。これからも、世の中どんなことが起きるか分かりません。
人生の再出発にあたり、お父さんが病気の間に思ったこと、そしてお母さんと悟志にぜひ伝えておいておきたいことを、元気でいる間にきちんと書いておくことにしました。
ただ、これはお母さんと悟志へのメッセージだけれども、自分自身へのメッセージでもあります。これからどれくらい生きられるか分からないけど、これからもときどき自分が書いたこのメッセージを思い出したいと思います。これを書いたときの決意や気持ちを思い出し、自分自身を励まし、勇気づけることができるかもしれない、と思っています。
「ギャンブル依存症」は人生を危機に陥れる深刻な「病気」です。しかし、世間はなかなかギャンブル依存症を病気とは思ってくれません。ギャンブルにはまる原因は本人の意志の弱さ、あるいは性格のだらしなさだと多くの人は思っているのではないでしょうか。それゆえ、本人の意志次第ですぐにでも克服できるはずだ、と考えるか、あるいは反対に、本人の性格の問題なので一生治らないと、考えるのかのいずれかだと思います。じつは、ある意味でこの両方とも当たっています。わたしは、重症のギャンブル依存症でした。もちろん最初のころは自分をギャンブル依存症だとは思っていませんでした。「ギャンブル依存症」という言葉もよく知らなかったのです。
わたしは、今年で六十二歳になります。月並みな言い方だけれど、長いようで短い、あっというまに月日が過ぎ去っていたような気がします。いろいろなことがあったけれど、なにはともあれよくがんばって生きてきたな、今はそんな思いでいます。
ただ、二人には、言い残しておくべき言葉があります。