プロフィール Ryu

『コトダマ新聞』の主筆(代表)です。時流に流されずに死生観をめぐる文化論にまで掘り下げて考察したいと思います。

ピースハウス病院

Photo via Nurse Park

日野原重明氏肝いりのホスピス、休止へ 定額制で経営難

 聖路加国際病院名誉院長の日野原重明氏の肝いりでできた日本初の完全独立型ホスピス「ピースハウス病院」(神奈川県中井町、21床)が、今月31日で休止することがわかった。日本での草分けとされるホスピスの休止に、関係者も衝撃を受けている。

 同病院は、他の診療科を持たず、がん患者らの心身の痛みを和らげる緩和ケアのみを行う「完全独立型」のホスピス。1993年、約6億円の寄付を受けるなどして開設された。

 関係者によると、同病院は厳しい経営状況が続いていたという。ホスピスは、入院料が定額制のため、手厚い医療行為をすると、利益が出ないこともあるという。関係者は「独立型は、一般病棟で利益を上げることができないので経営は厳しい」と明かす。

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「に」と「を」の違い~あるいは魂を言葉で伝えることの難しさ

photo credit: Scott Hudson * via photopin cc

憲法前文「『に』を『を』に」 変更求める石原氏に首相「どうか『忍』の一字で…」

 ……質問を志願したという石原氏が取り上げたのは憲法の前文。作家でもある石原氏は「諸国民の公正と信義『に』信頼して…」の部分について、正しくは「信義『を』信頼…」だと指摘。「間違った助詞の一字だけでも変えたい。それがアリの一穴となり、自主憲法の制定につながる」と訴えた。

 安倍晋三首相は石原氏の違和感に同意。「一字であっても変えるには憲法改正が伴う。『に』の一字だが、どうか『忍』の一字で…」と述べ、笑いを誘った。

 

 先日必要があってネットで翻訳関連の調べものをしていたときに、たまたま一ヶ月ほど前のこの話題についてのいくつかの記事を目にした。

 ちょっと気になったのでいろいろ調べてみると、わたしが見た限りではどれも「日本語の正しさ(または英文原案の翻訳の正しさ)に問題をすり替えるのはおかしい」とか「そもそも石原氏が『日本語の正しさ』を問題にするのはお門違い(つまり自身の日本語はどうなのか)」という論点に矛先を向けているようだ。

 わたしはそれは少し論点がズレていると思ったので、メモ書きしておく。

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終わりなき日常を生きる糧としての「キャラもの」

イラスト付きでもライトノベルじゃない!ヒット続出の「キャラもの」小説とは?

 近頃、書店の売り場を訪れると、イラスト付きの文庫小説が売り場を席巻していることに気が付く方も多いのではないだろうか。イラスト付きの文庫小説といえば、いわゆるライトノベルが主流とされているが、また新たな勢力が席巻し、出版界のトレンドになりつつある。

 こうした小説本は、いったいどのような内容で、どんな読者層にリーチしているのだろうか。実際に手に取って見ると、大まかな傾向が見えてくる。「いわゆる萌え志向のライトノベルではない」「現実世界の設定が多い」「軽めのミステリー的な話が多い」といったところか。

 こういった作品群のジャンル名は様々で、「キャラ文芸」「キャラミステリ」「ライトミステリ」などと、出版社や各書店の売り場によっても呼び方が変わる。「まだ新しいジャンルなので、呼び方は一定していないようです。ただ、出版社の間ではすでに売れ筋ジャンルとして認知されており、『キャラもの』とか『キャラクター系』というくくりで営業同士が話すことが多いです」(出版社営業)

 各出版社では、ヒットを受けてこうした「キャラもの」ジャンルの新レーベルを作り始めている。今年は特に当たり年で、6月にライトノベルの老舗、富士見書房が「富士見L文庫」を、9月には大手の新潮社が「新潮文庫nex」を始めたのに続き、11月5日には白泉社が「招き猫文庫」、11月20日には朝日新聞出版が「朝日エアロ文庫」を創刊した。今後もさらに、同じキャラクター小説ジャンルでの文庫レーベルが生まれてくることは間違いない。次の100万部作品は、「キャラもの」から生まれるか!?

 

 じつはわたしはこの記事で初めて知ったが、時代のトレンドは「キャラもの」らしい。

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「マインドフルネス」と「止観」について

photo credit: PeterThoeny via photopin cc

 

 先日のAzuさんの記事について、わたしなりに考えたことを補足(蛇足)として追記してみたい。

 「マインドフルネス」は仏教の瞑想法の一つの方法論から派生して、現在では精神的・身体的な健康法の一種として普及しているようである。

 わたしは精神的・身体的な健康法の一種として研究が進んでいくことはよいことだと思う。ただそれは、もともとの仏教の教義とは別物と考えるべきだろうし、宗教とも切り離して考えるべきだと思う。

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「機械の作る文章」と「人間の作る文章」の価値

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説執筆支援ソフトを活用して書かれた小説「僕は小説が書けない」が発売

 芝浦工業大学情報工学科の米村俊一教授は28日、同大学卒業生の作家・中村航氏と共同で、小説執筆支援ソフト「ものがたりソフト」を開発したと発表した。

 認知心理学で用いられる「プロトコル解析法」という手法を用い、米村教授が中村氏の発話内容を書き出し、思考の規則性を整理することで小説家の思考をシステム化。書き手の頭の中にある断片的な思考をつなぎ、1つのあらすじの作成をサポートしてくれるソフトを開発した。

 実際に同ソフトで作成したプロットを基に書かれた青春小説「僕は小説が書けない」(中村氏と中田永一氏の合作)が11月1日に発売される。

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近代デジタルライブラリーとKindleアーカイブを比べる  

血税投じたデータにタダ乗り? アマゾンが国会図書館使って電子書籍販売

 ……(前略)……であれば、今回の件は全然問題は無いのだろうか? 確かに法律上問題はないとしても、事情を単純に言い換えれば、「国民の税金を使って国が電子化したデータをAmazonがそのまま流用し、売上があがっても日本に対する税金は一切払わない」という話なのである。

 読者としては安い本が買えれば嬉しいけれど、自分納税した税金の成果が外国に一方的に流れて自分の国に帰ってこない……といったところか。

 もっとも国の側も、手をこまねいているわけではない。内閣府では、国際課税ディスカッショングループが「国境を越えた役務(サービス)の提供に対する消費税」について検討をしており、これに関する国際課税が法案として成立すれば、このようなねじれた事象はある程度解消するはずだ。

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中世スコラ哲学の「神」に似てきた「電子書籍」

大手出版各社、電子書籍急伸に期待 「紙の25%に」

 長く続く出版不況を、出版社はどのように打開しようとしているのか。朝日新聞社は大手出版7社に取材し、今後の展望を尋ねた。紙の本の市場がピークの3分の2の水準に落ちるなか、電子書籍市場の急激な伸びにほぼ全社が期待を寄せていた。

 講談社の野間省伸社長は「電子書籍市場が伸びていないというのは大いなる誤解。スマホで読む人が大半で、とくにマンガ市場が伸びている」と指摘する。集英社の電子書籍も前期比200%を超える伸びという。光文社の電子化された雑誌はまだ少ないが、丹下伸彦社長は「一挙にやろうと思っている」と話した。端末は苦戦していても、書籍そのものは好調と答える社が多かった。

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NHKドラマ『キルトの家』

NHKドラマ『キルトの家』

【新・仕事の周辺】山田太一(脚本家、小説家) 魂のはなし

 二年ほど前、ある日、吉野さんの詩句がむくむくとこみ上げたことがあった。

 老人の多いドラマを書こうとしていた。取材でいくつかの老人ホームを歩いた。

 入居者の症状が重くて、息詰まるくらい静かなホームがあったり、カラオケ大会、絵てがみ、コーラス、ダンスまで用意されているホームもあり、そのどちらのあり方も現実に老人を引き受けてみて、とりあえず他の方法はないだろうという切実さに満ちていたから、私になにかをいう資格などないのだけれど、この世界の奥行きは、ちょっと途方にくれるくらいまだまだ奥が深いのではないかと思った。

 ……(中略)……

 ホームの平穏は、スタッフの努力と共に老人たちの諦(あきら)めと抑制で維持されていると感じた。コーラス一つとっても立ち入ればいろいろあるにちがいない。カラオケだって。

 〈日々を慰安が吹き荒れる(略)さみしい心の人が枯れる〉(「日々を慰安が」)という吉野さんの詩を思い出した。それから次々と甦(よみがえ)り、ドラマでは次の「burst」の一節を引用したいと申し上げた。快諾して下さった。

 〈魂のはなしをしましょう/魂のはなしを!/なんという長い間/ぼくらは 魂のはなしをしなかったんだろう--〉

 ホームには、歳月をかけて厚くつもった魂がぎっしりあって、そのほとんどが口にされていないという思いがあとを引いているのだった。

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Malala Yousafzai addresses United Nations Youth Assembly

Malala Yousafzai addresses United Nations Youth Assembly

マララさん タリバン銃撃乗り越え国連演説全文「1人の子ども、1人の教師、1冊の本、1本のペンでも世界を変えられる」

 親愛なる少年少女のみなさん、私たちは暗闇のなかにいると、光の大切さに気づきます。私たちは沈黙させられると、声を上げることの大切さに気づきます。同じように、私たちがパキスタン北部のスワートにいて、銃を目にしたとき、ペンと本の大切さに気づきました。

 「ペンは剣よりも強し」ということわざがあります。これは真実です。過激派は本とペンを恐れます。教育の力が彼らを恐れさせます。彼らは女性を恐れています。女性の声の力が彼らを恐れさせるのです。

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photo credit: brtsergio via photopin cc

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NHK「あさイチ」で孤立したひきこもりや高齢化したニートを意味する「SNEP(スネップ)」を紹介

 24日放送の「あさイチ」(NHK総合)で、孤立無業者を指す「SNEP(スネップ)」を紹介した。

 この日の番組では、女性の孤立・ひきこもりについて特集したが、その中で「SNEP」について紹介。

 「SNEP(Solitary Non-Employed Persons)」とは、ひきこもりや高齢化したニートなど孤立無業者を指す新しい定義で、(1)20歳~59歳である、(2)現在結婚していない、(3)仕事をしていない、(4)2日以上ひとり、もしくは家族としか話さない、のすべてに当てはまるとSNEPに該当するのだという。

 番組では、こうしたSNEPは2011年に162万人にのぼり、この10年でおよそ2倍に増えていると伝えた。

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photo credit: AlicePopkorn via photopin cc

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「物は言いようだよなぁ…」なんとなく騙された気がする求人募集あるある その2

「心理カウンセラーの資格を持っているから応募したのに、ただの占い記事作成だった」(28歳/IT)

 ファッション関係とは書かれていないものの「女性に特化したメルマガやライター」を募集している場合は、ほとんどが占いやスピリチュアル系のライター募集です。占い相談記事の返答はテンプレートがだいたい決まっているので、所々書き直して相手に返信、なんていうのがメジャー。相談されているわけでもなければ悩みの解決でもありません。
 「女性大募集! ウェブライター」→「女の子って占いとか好きでしょ? 適当にそれっぽく返信しておく仕事だからお願いね」

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NHKスペシャル『臨死体験~立花隆 思索ドキュメント 死ぬとき心はどうなるのか』

NHKスペシャル『臨死体験~立花隆 思索ドキュメント
死ぬとき心はどうなるのか』

 

 人間の心にはいろいろな矛盾がある。その一つは、「真実を知りたい」という気持ちと同時に「真実を知りたくない」という気持ちがあることだ。そしてこの矛盾がもっとも峻烈な形で現れるのは、「死」についてだろう。

 つまり、死についてのて真実を知りたいという気持ちは最大限に強い一方で、いわばその反作用として、真実を知りたくないという気持ちも最大限に働く。ゆえに死について考えることは、人間の心に最大限の葛藤をもたらす。

 ただいずれにしても死は人生における最後にして最大のイベントなので、とりあえず真実を知る方向でほどほどに――度が過ぎると健康に良くないと思われる――考えてみることは有意義なことであろう。

 このとき頼りになる人物の一人は、ノンフィクション作家の立花隆氏である。「頼りになる」のは、博識だからとかとか本をたくさん書いているからとかという些末な理由からではなく、立花氏の「真実を知りたい」という気持ちが「真実」だと思えるからだ。余談だが「ノンフィクション作家」という呼び方は立花氏によく似合う。自分が真実だと思ったことを他人に分かりやすく伝える能力は当代随一であることは誰しも認めるだろう。

 その立花氏が「臨死体験」についての「真実」を追い求めたドキュメンタリーが、先日9月14日に放送されたNHKスペシャル『臨死体験 死ぬとき心はどうなるのか』だ。

 立花氏はすでに『臨死体験』という著作を1994年に著している。今回のドキュメンタリーはそれから20年後の現在、臨死体験の謎の解明はどこまで進んだのか、ということがテーマである。

 以下ではまず番組の内容を概略したうえで、最後にごく簡単に感想を述べておく。

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photo credit: AlicePopkorn via photopin cc

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「宗教は信じないが魂は信じる」人は約4割

 以前『お墓に関する意識調査』(研究代表・鈴木岩弓東北大学大学院教授)における現代人の「霊魂観」に関する調査結果を紹介した。

 そこで若い世代ほど「人には霊魂がある」と思っていることを明らかにした。

 現代人の霊魂観に関して、今回はもう一つの調査結果を紹介したい。堀江宗正東京大学大学院人文社会系研究科准教授らが行ったアンケート調査(『自殺と死生観と社会的信頼の関連について』)で、現代人の宗教観と霊魂観について調べている。

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photo credit: OiMax via photopin cc

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「死んだらお墓はいらない」今、“ゼロ死”を選ぶ人が増えている

 3日放送のフジテレビ『ノンストップ!』は、「新たな終活」として注目される”ゼロ死”を特集。

 ゼロ死とは、葬式をあげない「ゼロ葬式」、遺骨を残さず墓を持たない「ゼロ墓」をあわせた考え方。

 エンディングコンサルタント・佐々木悦子さんは、ゼロ死について「ここ2~3年で相談者が急増している。」と、語った。

 あまり一般的な考え方のように思われない「ゼロ死」だが、全国の葬儀社を対象に行った最近の調査では、請け負った葬儀の中で「ゼロ死」の割合は、なんと22.3%。MC設楽統は「5人に1人は、結構多い」と驚いた様子を見せた。

 佐々木さんは「以前は、経済的な理由でお葬式をやらないケースが多かったが、今は、死ぬ自分に使うお金があったら、残された人たちに多くお金を残していきたいという現実的な考え方から、価値観で選ぶ方が増えてきている」と語った。

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photo credit: Bernhard Ellefsen via photopin cc

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 すでに述べたことだが、「心」や「魂」が「物理的実体」として存在する――物理法則が支配する世界に存在する――、ということはないだろう、とわたしは思う。

 「ない“だろう”」という推測的表現をしたのは、それが証明不可能だからだ。いわゆる「悪魔の証明」と呼ばれるのもので、存在しないことを証明することは極めて困難だからだ。

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photo credit: benoit_d via photopin cc

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若い世代ほど「霊魂」を信じている

 前回の記事で、鈴木岩弓東北大学大学院教授のグループが2011年に実施した『お墓に関する意識調査』のデータを紹介したが、同調査には他にも興味深い項目がある。現代人の「霊魂観」「供養意識」に関する項目だ。

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photo credit: naoK via photopin cc

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継がれず無縁、さまよう墓石 不法投棄続々、墓の墓場も

 先祖代々受け継がれてきた墓が受難の時を迎えている。墓守が絶えた無縁墓から撤去された墓石は、慰霊の場を離れ、さまよう。人里離れた山中に“墓の墓”が現れ、不法投棄も後を絶たない。

 高松市のJR高松駅から車で30分の山中に“墓の墓”がある。約1ヘクタールの空き地にコンクリートで固めた最大幅100メートル、高さ15メートルの扇状の巨大なひな壇が設けられ、壇上に墓石1万基が並ぶ。

 「古石材預り所」と称する管理者(52)によると、中四国や関西の寺から撤去された墓石を石材店などの業者が持ち込んでくる。家庭の事情で墓を引き払い不要になった墓石のほか、無縁墓もある。1基1万円で受け入れ、最近は年300基ほど集まる。クレーン機で石を整然と並べ、定期的に雑草をとる。「ここ数年でどんどん増えている。もうけはないが、やめたくてもやめられない」。まだ9万基収容できるという。

 一方、不法投棄された“墓の山”もある。兵庫県南あわじ市の山中には推定1500トンの墓石が山積みにされ、山の頂は高さ4メートルに達する。6月半ば、県淡路県民局の職員3人が墓石に合掌しながら現場を見て回った。

 「比較的新しい墓もある。墓碑銘から、代々にわたり大切にされてきたんだろうなと思わせる墓もあります」。県民交流室の小塩浩司環境参事は言う。  墓石の不法投棄は昨年も広島県、京都府内で見つかり、ここ5年の間に茨城、千葉、兵庫など各県で業者が逮捕されている。

 不要になった墓石は通常、寺や霊園、石材業者が預かるか、処理業者が破砕処分する。だが別の方法をとる業者は少なくない。関東の石材店の社長は「破砕には手間と金がかかる。たたりを恐れて処分しない業者もいる」と話す。

 

霊園は散歩に最適

 以前、東京の谷中霊園に行ったことがある。

 墓参りではなく、近くに用事で行ったさいについでに散歩がてら立ち寄った。

 谷中霊園は雑司ヶ谷、青山と並んで東京三大霊園の一つと言われることもある由緒ある霊園だ。

 当然歴史上の著名人の墓も多く、徳川家15代目将軍慶喜を始め、鳩山一郎元首相、実業家の渋沢栄一、画家の横山大観、作家の円地文子、詩人の上田敏、法学者の穂積陳重、俳優の森繁久彌などなど。

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